『みんなでお茶を』 第62話 | ヽ(´∇`)ノ日和♪

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名もない林の中に


そのお店はあった。


都会の喧騒から


少し離れた林の中。


その都会の真ん中の


一等地にある『マキシム』は


今日も貴婦人達が賑わいを見せていた。


リチャード・ヘンダーソンは


この店のオーナーでもある。


上流階級とも付き合いのある


愛想笑いの達人でもあった。


しかし、先日、シェルドン・クーパーと


孤児院に行ってからどうしても


笑えなくなってしまった。



「ご馳走様、オーナー♪


今度、婦人会をここで開きたいわ♪」



そんな上客の声も


どこか空々しく聞こえる。


あの古着を着た子供たちの


「美味しかった」という声を


もう一度、聞きたい。


そんな衝動に駆られたリチャードは


着替えもせずに店を飛び出していった。



孤児院は今日も


たくさんの子供たちで賑わっていた。


パティシエの服を脱ぎ忘れたせいか


あっという間に子供たちが群がってきた。


修道女が


リチャードに声をかける。



「まあ!


今日も来て下さったんですか?」



「いや・・・


この間、僕に声をかけてくれた子はいますか?」



「この間・・・?


ああ、たぶんティモシーだわ。


残念だけど・・・


あの子は昨日もらわれていったの・・・」



リチャードは


その場で膝をついた。


こんなにも理不尽に、


こんなにも突然に、


人は別れなければいけないのか。


涙が


あとからあとから零れてきた。



「このお菓子屋さん泣いてるー!」



「シスター! 泣いてるよー!!」



子供たちが


リチャードの涙を古着で拭った。


修道女が


リチャードの肩に手を置き


優しく語りかけた。



「あなた、シェルドンのお友達?」



「違う!


あんな奴は友達じゃない!!」



「そう・・・


でもね、あの子もここでいっぱい泣いたのよ?」



「・・・・・・」



リチャードは


涙を袖で拭うと


子供たちに言った。



「今日は・・・


何が食べたい・・・?」





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