名もない林の中に
そのお店はあった。
都会の喧騒から
少し離れた林の中。
その夜、都会の
ど真ん中にあるバー、
『フライング・ダッチマン』では
ふたりのお菓子職人による
論争が火蓋を切ろうとしていた。
『すごく』間違っている。
そうシェルドンに言い放たれた
リチャードは動揺しながらも
反論した。
「『間違っている』という状態はひとつだ!
その状態に段階はない!!」
「いや、ある。
トマトが野菜だって言うのは
『ちょっと』間違っているが、
金槌だって言うのは
『すごく』間違っている。」
シェルドンは
呆気に取られている
レナードのウィスキーも
飲み干して、また言い放った。
「つまりだ。
貴様もお菓子職人の端くれなら
気温や湿度に合わせて材料の配分を
変えなければいけないことくらい
理解できるだろう?
レシピをデジタル化したって?
どうやら店のオーナーらしいが
愚鈍な君主に仕える家来達が
哀れでならないよ。」
さんざん侮辱されて
怒りで顔を真っ赤にしている
リチャード。
「そ、そこまで言うなら
勝負しよう!」
「ほう。
どんな方法だ?」
「ガトー・フレーズ。。。
苺のショートケーキを
お互いに作って味比べをするんだ・・・
ウチの店に勝てば、君らの店も株が上がるだろう」
「なるほど。」
「ただし!
負けたらこの町から店ごと消えてもらうぞ!!」
シェルドンは
リチャードのウィスキーも
飲み干して言った。
「勝って当然のゲームには
まるで興味がない。
でもまあ、遊んでやるよ。
残念なお坊ちゃん。」
シェルドンは
にやりと笑った。
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