名もない林の中に
そのお店はあった。
都会の喧騒から
少し離れた林の中。
その都会のど真ん中に
『ドルチェ』と書かれた店がある。
開店から5分と経たないうちに
店内は女性客でいっぱいになった。
「ドルチェって?」
席に着いたアリスが、
正面に座ったレナードに聞く。
「イタリア語で『デザート』って意味だね
焼き菓子からジェラートまで幅広い意味がある」
その名の通り、
そのお店にはあらゆる種類のデザートがあった。
多くの女性たちはジェラートを
楽しんでいたが、アリスとレナードは
涼しげなフルーツを頼む事にした。
メロンのポルト酒風味。
グレープフルーツのハチミツ漬け。
パイナップルのソテー。
スイカのココナッツ風味。
どれも口当たりが爽やかで
夏らしい味わいだった。
「美味しい!」
「流行るはずだね・・・ 手軽で美味しい」
「喜んでたらシェルドンに悪いかな?」
アリスが悪戯っぽく笑う。
その姿を見て
レナードはほんの一瞬だが
見惚れてしまった。
あわてて意識を取り戻すと
アリスに答える。
「そんなことないよ、
あいつはライバルがいた方が
燃える性質だしね」
レナードは、
伏目がちに続ける。
「アリス、さっきの・・・
『ドルチェ』の意味だけど・・・」
「うん」
「『美しい』って意味もある」
「ふーん」
グレープフルーツのハチミツ漬けを
口に運ぶアリスに、
レナードは続けた。
「つまり今日の君は・・・
とても美しい」
ハチミツに漬け込まれた
グレープフルーツは
アリスにとって
想像以上の甘さだった。
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