名もない林の中に
そのお店はあった。
都会の喧騒から
少し離れた林の中。
深夜遅く、自室で
浅い眠りについている
レナード・ホフスタッターは
昔の夢を見ていた。
テーブルの上には
アールグレイの紅茶と
そのティーセットが置かれ
目の前には
レベッカ・チェンバースがいる。
真っ赤な長い髪と
右目に負った裂傷の痕。
凛として着こなす軍服は
美しくさえ思えた。
レベッカは、
レナードの淹れた紅茶を
ゆっくりと口に運ぶ。
「・・・志願したそうだね」
残念そうに問いかけるレナード。
「・・・やっぱり、
あなたが淹れたお茶が一番ね」
レベッカは
静かに目を閉じている。
レナードは、
拳でテーブルを叩き、
レベッカに詰め寄る。
「なぜだ!?
なぜ君が行かなきゃいけないんだ?
君が何をしても、この世界から
争いはなくならない!!」
「・・・それでも、
食い止めることはできる」
レベッカは、
激昂するレナードに
静かに答えた。
「あなたは、お茶を淹れる・・・
私は、それを護る・・・
そしてまた、私はお茶を飲む・・・」
戸口に兵隊らしき男が立ち
レベッカに報告する。
「チェンバース少佐!
お車の準備が整いました!」
「ご苦労。
定刻までに状況を開始する。
部下全員に召集をかけよ。」
「はっ!」
赤い髪をなびかせて
レベッカは席を立つ。
「美味しかったわ、レナード・・・
この次はダージリンをお願いね」
「・・・帰ってこれるのか?」
レベッカの方を
見ることもできすに
レナードが聞く。
「・・・帰れずとも、私は護る。
あなたが、
この世界を愛せるようにね」
その言葉を最後に
レナードは夢から覚めた。
その言葉を最後に
レベッカ・チェンバースは
帰ってこなかった。
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