名もない林の中に
そのお店はあった。
都会の喧騒から
少し離れた林の中。
7月の朝日を浴びて
レナード・ホフスタッターが、
クッキーを頬張る。
その一部始終を
厨房の戸の隙間から
じっと覗き見るふたつの視線。
「・・・見える?」
「ここからではよく見えないが
どうやら食べたようだ。」
アリス・ペンドルトンと
シェルドン・クーパーは
徹夜でクッキーを焼き上げた。
オーブンでクッキーを焼いている間、
シェルドンとアリスは
ある約束をした。
「君とレナードの関係が
上手くいくように僕も協力しよう。」
「あなたが?」
思いがけない申し出に
驚きを隠せないアリス。
どう考えても恋愛とは
対極の位置にいるシェルドンが
恋のキューピッドになると言ってきたのだ。
「お菓子職人は、
人に幸せを届けるのが使命だ。
君とレナードが幸せになれば
僕は使命を完遂できる。」
「ありがとう、シェルドン!」
「ただ、ひとつ約束をしてくれ。」
「どんな?」
「すべての恋が
必ずしも成就するわけではない。
傷つく結果もありえるだろう。
だが、けして妥協をせず、
ベストを尽くすと約束してほしい。」
「シェルドン・・・」
「君なら、
レナードの止まった時間を
動かせると信じているがね。」
そう言って、
シェルドンは握手を求めた。
「約束する、
絶対に妥協はしないわ」
アリスは
微笑んでシェルドンの手を
強く握り締めた。
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