名もない林の中に
そのお店はあった。
都会の喧騒から
少し離れた林の中。
深夜ともなれば
人の気配もない。
午前1時。
レナードは温かいココアを持って
シェルドンの聖域、厨房に忍び込んだ。
「さーて、、ネコちゃんはどこかな?」
そーっと電気をつけると
冷蔵庫をゆっくり開く。
するとドアの上に積んであった
ステンレス製の鍋が頭の上に落ちる。
誰もいない厨房に、すこーんという
まぬけな音が響いた。
「ずいぶん大きなネズミがかかったな」
戸の傍で、シェルドンが大事そうに
黒ネコのビスキュイを抱えながら
冷ややかな視線をレナードに送っている。
「あいたたた。。。罠だったとは・・・」
「この天才菓子職人、シェルドン・クーパーを見くびってもらっては困る!」
「何も鍋を落とすことないだろう?」
「これでも人道的見地から考慮したんだ! 無数の包丁を落とす案は却下したしね!!」
「たかがつまみ食いだろ? 許してくれよ・・・」
「いーや!! レナード、君は共同経営者協定の第142項を破ったんだぞ!?」
「なんだっけ、それ?」
「僕のいないところで、勝手に僕のおやつを食べないという条約だ!!」
「そんなのあったっけ?」
「君も書類にサインした!
とにかくだ、明日からは罰としてリンゴの皮むきを手伝ってもらうからな!!」
「・・・仕方ない。。。 で? これからどうする?」
「想定外の夜更かししたからお腹がすいた・・・」
「どう? これからココアを淹れ直すから、ふたりでおやつにしないか?
それなら協定に違反しないだろう?」
「確かに」
「今日は何を作ったの?」
「芸術的とも言える作品だ! チョコレートプリンとカラメルソースを絶妙の配分で冷やしてある!!」
「じゃ、食べながらゆっくり話を聞こう」
レナードとシェルドンは
結局、明け方まで話し合った。
冷たいチョコレートプリンを
いっしょに食べながら。
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