コンピューターが無かった時代、情報は少数の為政者、権力者に握られ、
人をコントロールするのは容易(たやすか)った。
生きる目的が「食う」だけの時代は、人は政治に対し大いなる幻想や世界で
あたかも宗教のように夢という培養器のロボットのようだった。
樋口正一郎 2021「パンドラ」
ジョージ・オーエルのディストピア小説の映画化された「1984」や
遺伝子操作で生まれた適正者とそうでない、社会的j弱者、敗者、下層民として扱われる不適正者が
宇宙飛行士の夢を叶えようとする「ガタカ」など数多くある。
共産主義も民主主義も世界が単純だった時代は機能した。
しかし、時代を経て経済規模が大きくなるに従い、
基盤である経済システムに異を唱えるものは排除されるようになる。
20世紀はそれが顕著になるに従い
反比例するように成功した政治システムは崩壊した。
その典型的事例が、アメリカ第45代大統領トランプだった。
かつて黒人だけだった「奴隷」が、現代では白人にも知らず知らずの間に広がった。
権力機構と同体の政治機構の飽くなき欲望に対し、
全て剥ぎ取られた無いない尽くしの知識も連帯する意欲も喪失した人が向う方向は
ヤケクソになってアジテーションするのか、アナーキーな行為になる。
そういう動きに乗じたのがトランプだった。経済的な権力者であっても、権力機構には入れない一匹狼だった、
経済的にも、政治的にも矛盾したトランプだからこそ、
トランプ以外に欲求不満を代弁できる人はいないというわけだ。
しかし、民主主義が築いてきた資本主義経済が目指してきた頂点の結果は「パンドラの箱」だった。