巷で聞く2倍返し10倍返し、はたまた100倍返しが

ずっと何のことだか分からなかった。

やっと「半沢直樹」のDVDを5話まで見て、半沢現象が少し分った。

途方もない権力機構に立ち向かう姿はセルバンテスの「ドンキホーテ」を思い出した。

 

      現代社会を象徴するだけでなく、人間の生死をも仕切る神殿・銀行を舞台に

正義の使者・半沢の妥協や裏取引など、現代の何でもありィーの世もを見せる。

 

      勧善懲悪の映画、水戸黄門、長七郎日記、遠山の金さん、

吉右衛門の鬼平犯科帳など数限りなく身分制度の中でオーソライズされた、

絶対的な権力をバックに安心して見られる。

 

    日本人の諦念として、大きく強いものには巻かれろ、

歯向かうなと、類い稀な保守王国を長い時を重ねて熟成させてきたのだろう。

島国の、外敵の攻めてくることもなく、

安穏とした環境の中で、極楽トンボを決められた。

   

    20世紀までは江戸時代型、つまり農村型の権力機構が機能したが、

21世紀の情報時代になると、島国の国境のありがたさが、逆に不利になった。

グローバルな世界ではすべてオープンな中での、

物理的な量から数から、質への転換は

つまり文化的な創造性の高さを競う時代になった。

 

     しかし、何百年も続いた習性を突然脱皮するのは、

凡人が天才になるほど難しい!

経済学者の浜矩子が言うドンキホーテとは少し異なるが、

横並びの人生井ではなく、

どこか一途に邁進する人を歓迎する社会を築かないと、日本の未来はない。