私、むかしっから翼が生えてる人を描くのが好きで、なんか、定期的に描いています。
人間に翼が映えているってすごくあり得ない形なんだけど、これが絵にするとものすごく映える。
人と翼を調和させて描くのが快感です。うまくかけてるかは別としてね。
楽しんで書いている絵です。
翼の生えたひとって、人類の歴史の中でいつごろから存在するんでしょうね。
有名なのはやっぱ天使でしょうけど、天使って、聖書の記述見ても翼生えてるのか判然としない。
西洋の美術は宗教を布教する手段の一端ですから、キリスト教と切り離してみることはできないんですが、翼のない天使、顔に直接翼の生えてる天使、とか、今から思うと「ええっ?!」って思う表現が多々あります。
アトリビュートと言いまして、西洋絵画では必ず、人物画を描くとき、それが何を表している人物なのかわかるように、象徴的な印を書き込む約束事みたいなものがあります。
例えば、ギリシャ神話の神を描こうと思えば、竪琴を持ってる若い男はアポロンとか、弓矢を持つ乙女はアルテミス、孔雀を連れて王冠を被る女性はヘラ、鷲と雷と描かれればゼウス、鎧を着た若い男はアレス、鎧を着た女性はアテナ、というふうに。
兜をかぶってても、足に羽の生えたサンダルを履いて蛇の巻き付いたケーリュケイオンという杖を持ってればヘルメスですけど。
キリスト教だったら、毛皮をまとった男はヨハネだし、いばらの冠をつけて十字架を背負えばキリスト。青と赤の衣をつけて子供を抱いていれば聖母マリア、と決まっているんですが、この三人に加え、キリストの12使徒や聖人たちは、頭上に金の輪があるのがアトリビュートですね。
なんでもない人がたくさん描いてあるような絵でも、ひとり金の輪を持ってれば聖人の絵だということが分かったりします。
いつごろから天使の頭上に金の輪が描かれ、羽が白くなったのかいまいちよくわかりません。
天使の羽が白くなったのはごく最近のことみたいなんですよね。
今は当たり前に、白い翼が天使、黒い翼が悪魔、ってアトリビュートが成立していますが、ルネッサンス期の絵画を見ても、天使の羽は茶色かったり孔雀色だったりします。
聖書にも、翼があることは描かれていても、グリフォンの翼、とかって表現だったり。
グリフォンはライオンと鷲の融合ですから、イメージは茶色の羽ですね。
私が気が付くもっとも古い時代の有翼の人はエジプトの女神ではないかと思います。
翼はやはり極彩色ですけど、よく、墓所の四方を守っていたり、棺の四隅のレリーフに表わされていたりします。
また、太陽神が舟で天を渡って夜に地下の国を渡るとき、行く手を阻む敵を退けるため、船に乗った神々が翼を生やして戦うそうです。
天使のモチーフはこの辺からきているかもしれませんね。
むかーし、岡田君もコンサートで天使の羽をつけて踊っていたことがあったみたいですね。
10代の頃なのかな?
30代ではひらパーで換気扇の羽背負ってCMやってくれてましたけど(笑)。