昨日のGR、岡田君のラジオですけど、ゲストは石川真澄さん、現代の浮世絵師の方でした。
HPを拝見してちょっとだけ作品を鑑賞させていただきましたけど。
女性の浮世絵を拝見して、ちょっと鶴田一郎の絵を連想した私。
ノエビアって化粧品のCMとかで昔おなじみの、日本女性の美しさを独特のタッチで描く人ですけど。
なんか、ラジオ中でも岡田君が盛んに「艶っぽい」って言ってたような気がしますが、その艶っぽさが共通項のような気がしましたね。

日本画って美人絵ってジャンルとして存在してるんですけど、そこで描かれる日本女性の美しさって、ものすごく独特。
海外の女性の可憐さとは違って、なんというか色っぽくて艶っぽいんですよね。
豪奢な着物をまとって満開の花の間を歩いてる絵も美しいですけど、なんというか、日常を切り取って、普段きりっとまとめ上げた髪を、かんざしとってさらりと下したと瞬間の美しさ、とか。それを障子の影からのぞいてる風の絵とか。女性でも見とれるようなエロティシズムがある気がします。

石川さんの作品は、浮世絵の表現法を使いつつ、過去と現在の融合を試みていて、遊び心あふれる作風でした。
浮世絵って、遠くから見ればダイナミックで、近くから見れば繊細、というのにうなずきました。
私、西洋絵画はベラスケスが好きですが、彼の絵は、近くで見ると何が書いてあるのか乱雑で全然わからないんです。けれども、遠くから眺めると、近くで見ると筆でサッと汚くかすれた線が描いてるようにしか見えなかったものが、画家の手にあるなめらかで美しい絵筆の柄になってたりするんですよ。照りとかテカリまでしっかり写実的な。子供心にマジックでしたが。

西洋画って、中世の頃、聖書の写本などを飾っていた絵など平面的でした。
けれども、ルネッサンスあたりレオナルドダヴィンチが遠近法を整えてからすごく写実性に価値を見出すようになるんです。
ルネッサンスとは、西洋中世以降にギリシャ・ローマ時代の西洋美術の復興を現したものですが、もともとその古代の時代はものすごく写実的だったんですよ。元をたどれば、ギリシャ・ローマに深く影響を及ぼしたエジプトの美術が形式的ながらもすごく写実的だったということもあるんですが。
で、平面的な絵柄から脱して、ひたすら写実に価値を見出して邁進してきた西洋美術に、20世紀初頭になって殴り込みをかけたのが浮世絵です。

その頃の芸術家は頭を殴られたみたいな衝撃を受けたんじゃないでしょうか。
絵画ってこうあるべき、平面はもう卒業した、って思ってたのに、平面における絵画の完成形を見せられてしまったんです。
「絵は平面でもよかったんだ!」
20世紀初頭の、アールデコ・アールヌーボーの時代、印象派の画家たちをはじめ、様々な画家が日本の芸術に影響を受けました。ゴッホが浮世絵ショップに努めてて、その模写をしていたのも、前の記事で触れたとおりです。
線より面で絵をとらえてきた人々が、線の美しさに目覚めた時代でした。

入れ替わりに、日本では線より面の美しさに目覚めて、西洋絵画師が増えていくんですけどね。
今では、西洋絵画の方が平面的で、日本絵画の方が写実的だったりします。
もっとも、前衛的な部分では日本はアニメ文化で、やはり平面の線の美しさを追求する文化はすたれていないような気がします。
写実絵では、日本人は写真そっくりに描きすぎて、「それじゃ写真と変わらない」って酷評されるほどでして、細かいところにとことんこだわるのは国民性だなぁ、とつくづく感じました。

アニメの世界もセル画は卒業して、いまはすっかり3DCGアニメーションの隆盛が感じられますが、これが、一回立体にベクトルが向いてるかと思いきや、3Dでいかにセル画っぽくキャラを動かすか、というところがテーマの一つになってる気がして、すごく面白いです。
立体で表現できる技術を用いて、いかに平面を違和感なく表現するか。
これ、すごく日本的な挑戦のような気がするんですよ。
ディズニーのアニメーションもピクサーも、結局はいかに平面を立体に見せるか、という方向性に変わりありません。眠りの森の美女で平面的表現を狙いましたけど、その後はそれを突き詰めることはできませんでした。
やはり、西洋は立体、日本は平面、の文化なのかなぁ、などと思います。


岡田くん、仕事が苦しい、と言ってましたね(^^)。
仕事するのが嫌とか、活動を狭めたいとかの意味で言ってるのではないと思います。
このままだと、どこかの仕事で行き詰らないか先のことを考えてるんだと思うんですよね。
すごく先のビジョンまで考えてそうだから。
自分は凡人だという岡田君。その自分が、毎回いかに人を驚かせられるか考えながら演技していると、どこかでコメントしていたような気がする…。
だから、やり方を変えて自分の幅を広げたいんじゃないかと思います。
気持ちの持ちようを変えることで、新しい表現が生まれてくるんじゃないかと。
見せてもらうこちらとしては、作り手の苦しみはすごく申し訳ないけど、でも、浮世絵の石川さんにしろ岡田君自身にしろ、そして、クリエイターの端っこの私ですら、仕事中は苦しいですが、何かを表現したくてやっていることだから。
岡田くんの演技を、次も次もずーっと楽しみに待ってます!
歌もMCも格闘技も、いろいろ見せてもらいたいですね(^^)。