はじめに
ハンドメイドのエフェクターや関連機材を製作販売しているHF GUITAR EFFECTです。今回の記事では販売しているDCケーブルの製作の仕方について紹介します。
販売中の製品ラインナップやカスタマイズオーダーなど、大まかな概要はこちらの記事に記載しています。HF GUITAR EFFECTで販売しているDCケーブルについて知りたい方は、まずこちらの記事をご覧になってください。
使用パーツ
線材 オヤイデ3398-22
この線材の特徴などはオヤイデ公式ページでご覧ください。今現在、線材はオヤイデの3398-22のみを使用しています。
3398には太さがもっと太い18がありますが、使用しているプラグの穴に収めるには太すぎるため、製作はしていません。16になると完全に不可能となります。3398-18についての説明も上記の記事に記載しています。
2.1mmDCプラグ
基本的に使用しているのは、マル信無線電機のMP121CFとMP136Lです。他にロングプラグや高電圧・大電流向けプラグがあります。プラグの紹介も上記の記事に記載しています。
製作前の準備
ここからは製作について記載していきます。
ケーブルをツイストする
電気ドリルを使ってケーブル2本をツイストしていますが、強めにツイストしています。
なぜ強めにツイストをしているかというと、ここまでしないと広がってしまったり、線と線が離れてしまうからです。
オヤイデさんの販売しているDCケーブルは18の太さを使用しており、太さと固さがあるのである程度のツイストでいいのですが、22だと細く柔らかいためツイストが崩れやすいです。
強めにツイストしておくと崩れにくい他、手に取った感触がよく、扱いやすさもあります。
手袋を使用
まずゴム手袋をします。商品を作るときにすべての作業でしているわけではないですが、基本的に製作時にはニトリルゴムの手袋をしています。
手袋をする理由は商品に手垢を付けないためです。細かい作業をすると、けっこう手汗がでます。HF GUITAR EFFECTでは、ABS樹脂のケースを使っており、表面がつや消し加工されています。この手のプラスチックに触ると手垢が付きやすく簡単には落とせないため、素手では作業ができません。HF GUITAR EFFECTの商品でアルミケースの場合は半鏡面に磨いており、これも付きやすいです。綺麗に落とすのにアルコールを使わないといけないため大変な作業となります。
DCケーブルやギターケーブルの場合は、画像のようにプラグの金属部分をもってプラスチックのカバーを締めていくことになります。この金属部分は多くの線が刻まれており、ざらざらしています。ここも素手で触ると手垢が入り込みます。
簡単に腐食するわけではありませんが、人間の手垢によってプラグの金属部分は腐食します。後で布やスプレーを付けて拭いたとしても、見た目が綺麗になるだけで完全にはとれません。プラグは細かい凹凸があるので入り込んだ部分を洗浄するとなると、特殊な液体か超音波洗浄が必要になると思います。
自分で使うケーブルの場合はあまり気にしてませんが、売り物となるとそういうわけにはいきません。一般的に製造業というものは素手では作業をせず手袋を使用するのが普通です。
パーツの金属端子の洗浄
使用するパーツの金属端子などを洗浄します。
パーツによっては汚れがついており、購入した店の保管状況や製造した日、仕入れた日によって違います。店の中で密閉されていない空間にあると外気に触れて汚が付きます。製造した日が古く長い時間が経過したパーツも汚れが付いたり変色していることがあります。そのために一応といったとこではあるのですが掃除をしています。しなくてもケーブルはもちろん、エフェクターは普通に使えるのですが、はんだ部分の強度や付き方にいくらか差はあるかもしれません。趣味のレベルであればやる必要はありませんが、売り物となる場合は、やはり話が違ってくるので洗浄をしています。これも製造業の常識的なものとしてやっています。
DCケーブルとは関係ないですが、6.3mmフォンジャックは金属の削りカスが付いていることがよくあるので趣味で作る場合でもやっておいたほうがいいかもしれません。ネジ部分の切り出しで出た削りカスだと思いますが、ついていることが多いので綿棒にクリーナーを付けて除去します。
洗浄に使うクリーナーはKUREのエレクトリッククリーナーを使用しています。重要なのは油分の残らない速乾性であることです。油分の残るタイプを使うと逆に汚れになったり膜ができたりします。
プラグの取り付け
基本仕様のDCケーブルでは、ストレートとL字の組み合わせで製作しています。
オヤイデ3398-22はDCケーブルを作る上では、太い線材のため十分に考慮して作業をしなければいけません。この点についても先に紹介した記事で記載しています。
DCケーブルの製作は単純にはんだ付けして作るだけでは製品として安全なものとなりません。そのためにいくつかの工夫をしています。
ストレートプラグの取付
スリーブ側からはんだ付けをします。
ここでのポイントはプラグの止め金具部分あたりから線材の被覆を剥きます。白い線はこの後、安全のために熱収縮チューブを付けます。そのために太くなり、金具で抑えにくくなるのとハウジングも閉めにくくなるため黒線は被覆を剥いています。
はんだ付けするさいに、この止め部分にはんだが乗らないようにします。はんだが乗ると、金具をかしめにくくなります。
そうなると表面のはんだ付け箇所は小さめになります。それを改善するためにプラグの穴に通し裏面でもはんだをします。このさいにあまり線が出ていたり、はんだを盛りすぎるとハウジングが閉まりにくくなるため注意が必要です。
はんだ付けの後にフラックスクリーナーで洗浄をしています。これも必ずやらなければいけないというほどのことではないのですが、やはり商品ですのでやっています。しかし完璧にとることは困難なのである程度ですましています。茶色く強くついたときは落としたほうがいいのでそのときはいくらか時間をかけて落とします。
白線は画像のように線を折り返します。この線材は、ギターケーブルのように止め金具の部分で強く固定することは出来ません。線自体がシールドケーブルのように太くないため、金具がくいこむと簡単に中の銅線と金具が接触します。白線は絶対に接触させてはいけません。
金具はあくまで軽く抑える程度にし、はんだ付けのさいは強度が出るように作業をしています。
ただし、同じストレープラグでも製品によって構造が違う場合もあるため、違った作業の仕方になる場合もあります。
はんだ付けのあと、熱収縮チューブを付けます。固めのチューブを使うことにより金具の白線への食い込みを防ぎます。
最後に全体を熱収縮チューブで覆います。このチューブは無くてもいいかもしれませんが、長い時間にわたって使い続けた場合はより安全面で有利になるので付けています。チューブで固定することで線材が動きにくく、はんだ面への負荷がいくらか抑えられます。
ここでの熱収縮チューブは住友製を使用していますが、チューブに文字が入っています。その文字とプラグのハウジングに記載されている文字の向きが同じになるようにします。ギターケーブルと違い、結果的にこのDCケーブルではチューブの見える量が少ないのであまり必要性はありませんが、常に合わせるように作業をしないと、間違えたりするので統一して作業をします。
ハウジングを閉じると、線材とハウジングの穴のあたりは常に接触しています。画像のようにチューブで接触を防いでいます。ハウジングも樹脂なのであまり問題はないと思いますが、長い時間にわたって使った場合は線材の劣化に違いがあるかもしれません。これがギターケーブル用プラグのように金属性だった場合は必ずつけた方がいいと思います。
L字プラグの取付
L字の黒線も止め金具のあたりに被覆がないようにします。構造的に裏に線材を通してはんだをすることはできませんが、表のはんだ面が広くとれるのでそれを活かして線材を長めにしてはんだ付けします。
白線はチューブをつけていません。本来であれば付けたいのですが、3398-22の太さがぎりぎり製作できるレベルのため、白線にチューブを付けると、ハウジングが正しく閉まりません。一見閉まったように見えて、固めのDCジャックに付けてから外そうとするとカバーが外れてしまいます。
そのため白線にチューブは使わず、止め金具は軽めにかしめます。その代わりに十分な強度が出るように白線は画像のように穴を通したあとに曲げてからはんだをします。
次に熱収縮チューブで全体を覆います。白線に使っていないのでこちらは必ず必要となります。全体を覆うことで、軽めに止めている金具を補うことができます。
ハウジングを閉めたあと、固めのDCジャックで外れないか確認をします。画像にあるDCジャックは、プラグをぬく際にやたら固い製品です。これでハウジングが取れなければOKというテストに使用しています。
長さと導通の確認
組み立てが終わったあとは長さを確認し、テスターで導通確認をします。その後、プラグの金属部分をエレクトリッククリーナーで軽く拭いて終了となります。
製作に関して主に重要な点だけを書きましたが、他にも細かい作業手順がいろいろとあります。はんだの仕上がりや線材の長さ、プラグ端子の角度などで確認や調整をしながら作業をしています。
高電圧・大電流向けプラグ
HF GUITAR EFFECTでは高電圧と大電流向けのDCケーブルを販売しています。基本仕様のDCケーブルのプラグは定格電圧が12Vで定格電流はストレートが4A、L字が0.5Aです。よって組み合わせたDCケーブルはL字に合わせて0.5Aとなります。
24V・5Aのプラグを使用したDCケーブルを販売していますのでそのプラグでの製作について記載します。
使用プラグ
4UCON TECHNOLOGYという台湾のメーカーのプラグを使用しています。マル信無線電機の高電圧・大電流向けプラグは価格が高いのでこちらを基本的に使用しています。1つ150円くらい高くなりますが、カスタマイズオーダーで希望があればマル信無線電機のプラグで製作いたします。
このプラグは形状が変わっており、プラスとマイナスが接触しやすい構造のため、単純にはんだ付けして組み立てるだけではかなり危険です。センター端子が一般的な作りよりもスリーブ側に近いため、接触する可能性が高いです。
また、普通はセンター端子が平べったい板か輪っか状なのですが、これは筒状になっています。おそらく高電圧・大電流向けのプラグのためこうなっていると思われます。
黒線は通常のプラグと同じようにはんだ付けをし、その後にアセテートテープで絶縁対策をします。
次に白線をはんだ付けします。はんだと線がつきやすいように被覆を少し多めに剥き、プラグを立ててはんだが下に流れやすいようにしたりと、工夫が必要になります。
白線にチューブを付け、固定します。チューブをしていればアセテートテープはなくてもおおよそ平気ですが、確実な安全対策をしたほうがいいので付けます。
全体をチューブで覆います。あとは通常のプラグと同じです。
DCケーブルの製作は正しい知識がないと、すぐにはダメにならないけどある程度使ってから失敗するという可能性があるのですが、このプラグに関してはより注意が必要になります。難易度の高い作業が必要というわではなく、絶縁対策をしておかないとあとで不具合が起きる可能性があることを知っていることが必要となります。もしこういった形状のプラグを自作する場合はチューブでもテープでも付けておくほうがいいです。仮に商売をするとなったら中途半端なものではなく、しっかりと作る必要があります。
おわりに
HF GUITAR EFFECTで製作販売しているDCケーブルの製作についての紹介は以上となります。製品自体は簡単な作りなのですが、完成までには多くの手数が必要となっています。
申し訳ない点が1つあり、過去にHF GUITAR EFFECTで最初のころに販売または、サービス品として付属していたDCケーブルでは、熱収縮チューブを使用していません。その後改良して今の製作手順となりました。(高電圧・大電流向けのプラグは改良後なので使用しています。)
基本的には心配はないのですが、チューブを使用していないDCケーブルをお使いの方は、あまりケーブルに負荷がかからないように使用し、使用期間は10年を目安にしてください。
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カスタマイズオーダーは基本的にBASEで承っております。一応メルカリでも受け付けはしていますが、メールでのやり取りはできないため、完成品の画像を見てもらうことはできません。
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