ここに来られる人の多くは修行者か、少なくとも修行に興味がある人だと思います。みなさんにはそれぞれ修行課題があると思いますし、私に日々の修行法や修行方法について助言を求める人もいるでしょう。

もし修行を始めるつもりなら、最良の助言は携帯電話とパソコンの電源を切り、修行の障害となるものを全て門の外に置いて、自分が誰で、どこにいるのかを忘れ、残された仕事や後にスーパーで買い物をしなければならないことなどを忘れることです。それら全てを放り出しましょう。

ある友人が、まともに1回の修行も出来ないと私に愚痴をこぼしていました。座っている間に、いろいろなことが起こり、修行を続けられなくなるそうです。ある日、うまく1回の修行が完了できたら奇跡だそうです。

彼女は主婦で、毎日の料理から子供の送り迎えまで、多くのことを考えなければなりません。おそらく、経を唱えながら鍋の状況も見なければならず、なかなか落ち着けないはずです。彼女はしばしばパソコンの側で座禅を組み、QQを開いたままでした。そうすると、集中するはずの時に、誰かからメッセージが届き、中身を見なかったものの、確実に気が散ってしまいます。

ある妨げが去ると、すぐに別の妨げが現れます。彼女はちょうど10分ほど座って、集中しかけたところで電話が鳴りました。そこで短い思考の葛藤が生じます。出るべきか、出るべきでないか。この問題です。出なければ緊急の事態かもしれません。保育園で子供がひざを擦り、血が出ていて、保育園の先生があなたに何度も電話をかけるが、誰も出ない。子供は必死で泣いている、そんな光景が頭に浮かびます。あなたはそんな恐ろしい光景を頭から振り払おうとしますが、そんなことになりたくありません。だから電話に出ることにしました。すると、かわいらしい声の知らない女性から、近くにできたジムの会員募集の電話でした。今なら半額キャンペーン中で、プレゼントもありますが、興味はありませんか?と言われ、興味がないと言って電話を切りました。座禅を再開しましたが、もう集中できません。いつの間にか気が散ってしまい、何か重要なことを忘れているような気がします。やっとのことで集中できるようになり、状態に入り始めた頃、おかしな臭いがしてきました。何か燃えているような臭い。誰かがお粥でも炊いているのでしょうか。ふと、自分も鍋で何か炊いていたことを思い出し、あわてて立ち上がって台所に駆けつけると、鍋の水がほとんど無くなっていました。がっかりして、ガスの火を消し、座禅の座布団に戻りました。5分ほどしてドアベルが鳴りました。誰かと聞くと、宅配の人から「あなたが注文した商品を届けに来た」と言われ、仕方なく出て受け取りましたが、注文した本が3冊セットなのに1冊しか届いていません。そのことで、宅配の人と少し議論になりましたが、その人が去った後は、さっきしようとしていたことを完全に忘れてしまっていました。もう1時間以上経っていましたが、何一つ手につかず、いつの間にかごちゃごちゃになってしまいました。

こんな目に合いたくないのなら、座禅に入る前に、携帯電話など、妨げになりそうなものはオフにしておくことをおすすめします。携帯電話はよく予告なく鳴るものですからね。1時間くらい携帯をオフにしても、世界が乱れたりアメリカとロシアが戦争を始めたりすることはないと思います。地球は回り続けますから、あなたが参加しなくても大丈夫です。

修行を決意すれば、あなたを妨げようとする力が働くことを覚悟しなければなりません。携帯電話を鳴らしたり、ドアを叩いたり、家族にむちゃくちゃ怒られたり、寝ている赤ちゃんが泣き出したりと、修行の継続を阻止しようとします。修行を始める前に、外的な条件を全て断つことが重要です。一番徹底した方法は出家することですが、現実的ではありません。私たちはこの生活に慣れてしまっているため、携帯電話やパソコンがなくてはならず、それらを全て捨てることはできません。あなたは主婦なので、その責任を果たさねばなりません。しかし、修行中は一時的にそれらから離れられます。少なくとも、黙ってその場から離れてもらうことはできるでしょう。あなたを妨げるものが多すぎるのは、欲しいものや係わりすぎるものが多すぎるからです。時としてそれらは全てあなたの敵のようですが、一日中ベッドで寝ていれば何も起こりません。しかし、修行を始めようとすると、全てが一斉に押し寄せてきます。それでも臆せずにいてください。それはあなたの修行に進歩があり、何者かにおびえられているためです。

何かをするなら、同時に他のことをするべきではありません。お粥を炊くなら、お粥を炊くことに専念し、座禅を組むなら座禅に専念しましょう。お粥を炊きながら座禅を組んでは、どちらも手を抜くことになります。最後に、最も重要なのは福徳を積むことです。

この文章は2008年9月に霊山隠者のブログで最初に投稿されたものです。

 

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灵山居士:你关机一个小时世界也不会因此乱套