「ジェジュン一緒に帰ろう」
「…うん」
二人のこのやり取りに最初は驚きざわついていた教室も、もはやもう慣れて誰も気に留めなくなっていた。
あれからというもの何か無い限り二人で帰る事が日課になったが、特にこれといって恋人らしいことは何一つしていない。
恋人というより、仲のいい友達…そんな感じだ。
「…でさー、この間のテレビでやってたアレおもしろかったよなー!」
「うん」
そしてジェジュンの醸し出す空気にもすっかり慣れてしまったユノは、緊張や戸惑いもすっかり無くなりお得意の『一方的におしゃべり』を炸裂させていた。
並んで歩きながらユノが楽し気に話す。
そしてそれをジェジュンが時折うんうんと頷く。
そんな二人ももうお馴染みになっていた。
「あ、そうだジェジュン!今度さ、休みの日に遊びにいかねぇ?」
「うん、いいよ」
「ほんとか!?やった!どこで遊ぶ?」
「…。」
ユノの問いかけに考え込んだ後、暫くして呟いた。
「俺の家…来る?」
「……。えぇ!?ジェジュンの家!?」
いきなりのお誘いに思わずドキンと胸を膨らませながら驚くユノにジェジュンがいつもの冷静な顔のまま頷く。
(ジェ…ジェジュンの家!?ってことは…ついに!?)
ユノとてこのままの親しい友達のようでいるのも正直つらかった。
恋人なのだからそれこそジェジュンと手を繋いだり触れたりキスをしたり…そんなことを夢見ている。
「い、いいの?」
「うん。親に紹介する」
「えぇ!?いきなり!?」
さらっとそんなことを言ってのけるジェジュンにまたまた驚きながらも、その気持ちが嬉しいことには変わりない。
緊張と喜びを隠しきれずに混乱しながらもユノはジェジュンの提案通りにすることにした。
―――そして約束の日。
ジェジュンに言われた待ち合わせ場所でそわそわを隠しきれないユノ。
今日は一体どんな日になるんだろうと思案しては顔を赤らめている。
恋人の家にお邪魔するのだから手土産は必要だろうと菓子折りを握りしめて立っていると、ひょことジェジュンが現れた。
「ユノ」
「ジェ…ジェジュン!」
「お待たせ。あっち」
「う、うん」
ジェジュンが指さす方に歩いて行く。
(どうしよう…家が城だったりしたら…)
前にチャンミンに言われた噂話をふと思い出して、そんなわけないと一人笑った。
待ち合わせの場所を離れて案内されるまま歩いていくとどんどんと住宅街に入っていく。
「ジェジュンの親御さんてどんな感じ?」
「普通だよ。普通の親」
「へー…(ほんとかなぁ)」
表情ひとつ変えないジェジュンに少し疑いの視線を向けるのも、やはりこんなに綺麗でミステリアスなジェジュンの親が普通なワケがないという理由からだった。
「…ユノ」
(絶対、国王と女王とかだよな…)
「ユノ」
有りもしない妄想をしていたために、ジェジュンに呼ばれていることに気付かず数度名前を呼ばれてハっと顔を上げた。
「ユノ、着いた」
「あ、ごめ…ってえぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!????」
『着いた』と言われて前を見た先にあった建物に驚き思わず転げそうになるユノ。
「こ、ここ!?ほんとに!?ジェジュンの家!?」
未だ信じられずにあたふたするも、ジェジュンはまた無言で頷いた。
「う、うそだろ!?!?!?!?!」
「ぼっちゃん!お帰りなせぇ!!」
「ただいま」
そう、ユノの目の前にあるのは豪邸。
ただしそれは予想していたような洋風のお城のようなものではなく、どちらかというと古風な…そう、ヤ●ザなお屋敷だったのだ。
「ぼっちゃん、コイツが友達ですか?」
柄の悪そうなチンピラにジロリと睨まれて化石化するユノの横でジェジュンが顔をふるふると振った。
「違う。恋人」
「えぇぇぇぇぇぇぇ!?!?!?!?」
目玉を飛び出させて驚くチンピラの横で更に固まる…むしろ死にたくなるユノだった。
続く♡