先日、フランスを代表するジャズピアニスト、ミシェル・ペトルチアーニのドキュメント映画、
「情熱のピアニズム」を鑑賞してきました。
ミシェル・ペトルチアーニが大変素晴らしいピアニストであるというのは、ジャズファンにとっては周知の事実なのですが、私は2枚ほどライブ作を聴いたのみ(それでも大変感銘を受けましたが)。
彼が困難を乗り越え、短くも太く濃い人生を歩んだというステレオタイプのイメージしかありませんでした。
実際、映画を見て、まず印象深かったのは渡米したミシェルが、当時引退していたチャールス・ロイド(Ts)の自宅を訪れ、その演奏を出先にて電話で聴いたロイドが急いで帰り、ミシェルと共に一日中セッションをしたという回想。
キース・ジャレット、ボボ・ステンソン、現在ではジェイソン・モランと常に共演するピアニストの審美眼に定評のあるロイドをここまで感動させたという所にミシェルの実力がいかに高いかを如実に物語るエピソードでした。
その他、ミュージシャンからは演奏については賛美のコメントが多く寄せられていました。
しかし、一番興味深かったのはミシェルの人間性に迫った部分。
本人が語っている生い立ちや人生観も貴重でしたが、結婚、離婚を繰り返していたというのは、
今回の映画で初めて知りました。
過去の結婚相手、恋人達がほとんど出演し、彼との生活を赤裸々に語っていましたが、
恨み辛みは言わず、彼の事を語る彼女達の表情は皆清らかでした。
何か憎めないキャラクターを持った、天性の人格を持っていたとでも言うべきでしょうか。
また、ミシェルの息子である、アレクサンドル・ペトルチアーニの証言も印象に残っています。
父親と同じ宿命を背負って生まれた彼だからこそのリアルな父親への視点には、映画を観た方なら考えさせられる部分が多いと思います。
総じてこの映画、ミシェル周辺の関係者への豊富な取材により、美しい部分だけでなく、
現実的な部分も直視した、完成度の高いドキュメントであると思います。
ジャズファンなら見て損はないでしょう。上映期間も短いでしょうから、お近くで上映されている所があれば、是非足を運んでいただきたいと思います。

