朝8:00。
7:00に設定したアラームを止めた記憶がうっすらと残っている。
カーテンを開ける。道には3人の自分より若い人が歩幅をやや広めに早足で歩いている。駅方向へ2人、反対方向へ1人。
3人とも上下全身黒の服を着て、そのうち1人は真っ白のスニーカー。これから仕事の雰囲気が伝わってくる。
学校への道は、黄色の帽子の生徒たちが列をなして校門から玄関へ吸い込まれている。
私は今日も世間から遅れをとったらしい。
空は薄暗く、道路は濡れてアスファルトの黒が鮮明にみえる。スマホの天気予報だと午後から晴れマークだ。
午後の外干しを期待して、母が頑なに使い続ける2槽式の洗濯機をまわす。
母が2槽式にこだわる理由がいまだわからない。
午後は母が注文しているコープの食材を兄の家に受け取りにいかなきゃならない。それまでに洗濯機を回しおえて、日がさすタイミングでベランダに干す作戦だ。
午後2時前、ようやく日の光が射しはじめる。セットしていた物干しを急いでベランダの竿に引っ掛ける。
次は、車で向かう前に歩いて駅前のPUDOへフリマで売れたものを出しに行く。
1人の少年がサッカーボールを持って学校のグラウンドへ向かっている。待ちきれないのか、グラウンドに入る前に門へ向かってサッカーボールを蹴り込む。授業がおわってすでに一旦帰っているようだ。
駅前まで来たところで、エレベーター前に台車を引いた宅急便スタッフをみかける。
荷物の回収に来たと思い、エレベーター横の階段で3階まで急いで上がる。左右に振れながら歩く人に少しイライラしながら追い抜いて、PUDOのボックスに荷物を入れる。
手数料と送料が引かれて、手元に入るのは数百円だ。
明日が3月11日なので、テレビは震災の番組ばかり流れている。
ちょうどその日に母は石巻の実家へ帰っていたところを被災した。毎年2週間くらい帰省していたのだが、365日のうちの14日。4%に満たない確率のそれにあたってしまった。
テレビで震災の映像が流れだすこの時期は少し困る。母の体調が悪くなる。
明日、美容院の予約をいれていたのは、気持ちをそらすためなのかもしれない。
母がコープで注文する量は、以前よりスチロール1箱分減っている。
親父の分がいらなくなったからだが、親父が死んで年金が随分減ってしまったのもあるだろう。
母と未婚の2人の息子。残りの時間を細々と3人で力をあわせてやっていく。最後にこの家を閉じるのが自分の役割だ。
今朝つくったシジミの味噌汁が美味しい。
ありがとう。