インフレデフレそしてリフレ | おばちゃんの経済自習室

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経済なんかサッパリしらなかったおばちゃんが経済を勉強してみるお部屋。

今朝のエントリーで、デフレから緩やかなインフレに向かわせる方向を考えて、
インフレターゲット・買いオペ・財政出動と言った内容を書きました。
マクロ経済学的にはこれを「リフレーション(政策)」と言うのだそうです。
リフレと聞くと足が気持ちよくなるような印象しか持っていないので、
ちょっとリフレーションについて勉強。

その前にまずはインフレとデフレについてもおさらいしておきたいと思います。

インフレーション:
簡単に言えば物の値段が上がることで、日本語では価格騰貴と呼びます。
「物の値段が上がる」と聞くと、物価が上がって暮らしにくくなるじゃないのと思いますが、
需要に対して供給が不足する状態なので、人手も確保する必要があります。
人手を確保する必要がある→雇用が増える→所得が増える
ので、景気の良い時には年数%のインフレ状態にあるのが普通です。
この状態をクリーピング・インフレとかマイルド・インフレと呼びます。

また、お金の価値がある時点よりも低くなっている状態とも言えます。
極端なケースで言うと、昔10円だったチロルチョコが今20円するようなもので、
経済規模の拡大とともに、お金の価値が下がり、同じ金額で買えるものが少なくなるわけです。
(じゃあ今チロルチョコが値下がりしてないからデフレじゃないのかと言えばそうではない)

お金の価値が減るという事は、例えば住宅ローンなどを借りた時点よりも
所得が増えてゆくので、返済額はそのままで使えるお金が増え、繰り上げ返済が可能になって
実質的な返済負担が小さくなるというメリットがあります。

物価が上がるので、キャピタルゲイン(売買差益)を狙った不動産投資などが行われますが
ここのコントロールを間違えてしまったために、日本のバブルが起こってしまったのですね。

これが行き過ぎると、最近ではジンバブエなどで起こったハイパー・インフレとなり、
スーツケース一杯の札束でやっとコーヒー一杯を飲めるような事態になります。
貨幣発行権があるからと言って、自国の経済状況を超えた水準の通貨供給を行うことで起こります。
買いオペを怖がる人たちはこの事について指摘するのですが、じゃあ今デフレに喘ぐ日本で
ハイパー・インフレ(年13000%)を起こすにはいくら貨幣を刷ればいいのか教えてよ、という話なんです。

スタグフレーション:
不景気なのにインフレが進行する状態を言います。
2008年にアメリカで起きたサブプライムローン問題の折に、投機的資金が石油などの資源に流れて
コスト高になるため、日本でも物価が上がってスタグフレーションが起こるのではないかと言われましたが、
世界全体がバランスシート不況に突入していたため、やっぱりデフレのままでした。

デフレーション:
インフレとは逆に、物価が下がっていく状態のことをデフレと呼びます。
需要に対して供給が多くなりすぎ、物が売れないために価格が下がっていくんですね。
まぁもう20年もデフレの中で過ごしているので「物価が安い」事を素直に喜べなくなりましたが、
物価が安いという事は、何かのコストを削らなければ物の値段は下がらないわけです。

広告費を削ったり、福利厚生を削ったり、人件費を削減したり、雇用を削ったり、事業所を廃止したりして
どんどん経済規模が縮小していくためにどんどん景気も悪くなり、みんながお金を使わないので
さらに物価が下落し、広告費を(ryという無間地獄に陥っていくのがデフレスパイラルなんですね。

そして、インフレ時と比較すると同じ金額でたくさんの物が買えるので貨幣の価値が高まります。
これもインフレとは真逆に、貨幣の価値が高まると、所得増加が見込めないどころか雇用まで危うくなり、
ローンなどの実質的な返済負担が大きくなって、返済ができなくなってしまうケースも出てきます。
また、物価が安くなっている状態ではキャピタルゲインが見込めないなどの理由で
不動産などへの投資も鈍り、社会全体でお金の流れが滞ってしまう状態になってしまいます。

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ここで疑問なんですけども。
日銀は「物価の安定」を目標に色々な業務を行うのですが、日銀が言う「物価の安定」は
どうも「物価が上がらなきゃいい」と考えているフシがあるのです。
今朝書いた話とダブりますが、物価の安定というのは国民の所得とのバランスの上に成り立つのであって
決して安けりゃいいというものでもないので、私が日銀総裁なら「デフレ、あかん!」とか言って
何か対策を講じなきゃとジタバタすると思うんですよ。
なので、現在のほぼ何もしてない状態って多分インフレじゃなきゃいーやと思ってるのかなとゲスパー。

イヤイヤ冗談じゃないです。これ以上税負担が増えて可処分所得が減ったら、
おばちゃん一家で路頭に迷っちゃうのよ。ふざけんな日銀。というわけで
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リフレーション:
不況下における設備の遊休あるいは失業(遊休資本)を克服するため、マクロ経済政策(主として金融緩和政策、時に財政政策も併用)を通じて有効需要を創出することで景気の回復をはかり、他方ではデフレから脱却しつつインフレーションの発生を防止しよう(マイルドインフレにとどめよう)とする政策である。
通常はインフレやデフレと同様に略して「リフレ」と呼ばれ、日本語では「通貨再膨張」とも訳される。
wikipedia先生には何でも書いてあって便利だなぁ。
つまり、小渕政権や麻生政権が行った財政出動や減税などのパッケージ政策がこれに当たるのですね。

しかしマイルドインフレと言ってもその制御は難しいため、慎重になる気持ちはよくわかるのです。
そこで出てくるのがインフレ・ターゲット(以下インタゲ)。
中央銀行(日本では日銀です。)が目標値を設定し、その数値に合わせて通貨供給量を調節することで
マイルドインフレの状態に持っていこうというものですが、日銀はインタゲには否定的です。働けよ

日本が破綻するシナリオが好きな方々は総じてリフレ政策に対して否定的ですが、
この20年、彼らの言うように緊縮財政・増税を繰り返した結果、デフレから脱却できていません。
それなら一度リフレに賭けてみてもいいじゃないか。実際個人的な肌感覚だけの話ですが、
この20年でほんのり景気回復の匂いがしたのは小渕さんと麻生さんの後だけでした。
この2つの政権に共通するのが財政出動です。
民主党にやらせてみようとかTPP参加なんて骨折した馬に全財産賭けるようなもんですが、
リフレ政策はそれよりもずっと勝ち目のある話だと思いますね。