オペレーターデビューから一ヶ月…
 
 
師走の名物、有馬記念で中央競馬も一年の終わりを告げようとしていた…。
 
 
ダービーと有馬記念だけは別格の売上を上げる。
 
 
賞金が高いだけで配当には関係ないのだが…
 
 
最終日を終え、山〇さんから翌週土曜日に忘年会をやるから、その前に質屋の棚卸しを手伝うように言われた。
 
 
翌週土曜日、歌〇伎町の質屋に行く。質屋と言ってもほぼブランド品が並ぶセレクトショップだ。
 
 
指示を受け、次々にブランド品を段ボールに詰め込む。
 
 
ヴィトン、シャネル、PRADA……
 
 
とにかく詰め込んだ
 
 
そのうち忘年会の時間となり、とある居酒屋へ
 
 
すでに会場には50名ほどの人々が集まっていた…。
 
 
そう、この忘年会は山〇さんの組織の忘年会ではない……。
 
 
ドリンクバーの顧客の為の忘年会なのだ。
 
 
参加費はもちろん無料…
 
 
ここまでのケアをして初めて商売が成り立つことを、肌で感じた。
 
 
しかし、これで終わりではない。
 
 
宴たけなわのなか、ビンゴ大会が始まる。
 
 
ビンゴカードは一枚1000円、一人何枚買ってもOK
 
 
賞品は、先程heyが棚卸しのつもりで段ボールに詰め込んだブランド品……
 
 
飛ぶように売れるビンゴカード……
 
 
取りガミがないことをここの顧客は知っているようだった(それはビンゴ大会に関してだけなのだが)…。
 
 
キレ者の恐ろしさ、今でも鮮明に記憶している。
 
 
そんな山〇さんとも別れの時が来る。
 
 
このまま色々な仕事をしないか?  とも誘われた。
 
 
だが、大学4年のheyは一般企業への就職を希望した。
 
 
様々な不安があったのは事実だが、サラリーマンというものを経験することが必要だと感じたから…だと思う。
 
 
山〇
『そうか、今までアリガトな。hey、最後の約束をしてくれ』
 
 
 
と言った。
 
 
 
それは、今までの関係を一切断ち切ること。
 
 
 
そういって、紙袋を手渡された。
 
 
 
お礼を言うと同時に、溢れ出す涙を拭いながら、二度と会うことのない人に別れを告げた。
 
 
 
紙袋に入っていたのは、とあるブランドの名刺入れ…
 
 
今でも毎日スーツの中に入っている宝物の一つである……。