UNION Hey! Say! JUMP×妄想小説

UNION Hey! Say! JUMP×妄想小説

JUMPくんに癒されている毎日です。
9人が好き!大ちゃんが好き!!
いのありコンビも好きなNatsukiが
JUMPくんの妄想小説を書いています。
登場人物は実在の方とは一切関係ありません。
ご理解いただけた方のみご覧ください。

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「うそ?」


展望台に着いたエレベーターの扉が開くと私の目に映ったのはずっと会いたいと思っていた人だった。



慧くん、・・・。


手すりに肘を付き展望台のガラスの向こうを眺めてる慧くんの姿に向かってゆっくり歩き出す。



『しぃ、・・・。』


「・・・、慧くん、・・・。」


ガラスの向こうを眺めてる慧くんの声に私は返事をする。


すると振り返り私を見た慧くんが驚いた表情になる。



「・・・、慧くん、私、・・・。」



自分でもわかる。


今私の顔は真っ赤になってる。


恥ずかしさでいっぱいの私はゆっくり慧くんの元へ進んでいく。


そんな私へ駆け寄り、慧くんは私の腕を引き寄せた。




「慧くん、・・・。」


『しぃ。』



・・・、うっ、・・・。


慧くんの胸に抱かれた私はずっと我慢していたものが目から溢れ出てきた。



『どうして?どうしてここにいるの?』


「・・・・・・、」


『いつきたの?』


「・・・・・・、」


慧くんの言葉に答えたいけど、溢れ出す涙が止められなくて何も答えられない。



私がどうしてここにいるのか。


いつ来たのか。


慧くんの言葉に答えたくても今は無理。


それでもやっとこれだけ言う。

 


「ごめんなさい。」


『何を謝るんだよ?謝ることなんか全然ないのに。』

 

「ごめんなさい。」


『ふっ、・・・はは。何?しばらく見ないうちに何そんなにしおらしくなってんだよ?』


「・・・、グスッ、・・・、スッ、・・・、もぅ、・・・、」


『え?何?聞こえないけど?』


「・・・、スッ、・・・。」


『あのものの言い方はどうした?俺に食ってかかるあのしぃはどこに行った?』


慧くんの柔らかい声が私を包む。



『ほら、顔あげて。ちゃんと顔見せてよ。』


慧くんの柔らかい声に私はそっと顔をあげる。



え?


顔をあげた私の涙目に映ったのは同じように泣いてる慧くんだった。



『・・・、しぃ。』


「慧くん?」


『この前仕事でしぃが東京に来たときも言ったけど俺、待ってたんだ。卒業したあの日からずっとここでしぃを待ってたんだよ。』

 


泣きながらそう話す慧くんはやっぱりあの頃の慧くんのまま。



ナヨっとした見た目と、柔らかい声。


白くて長いきれいな指、とろんとした瞳。 


運動神経ゼロなところも変わってない。



変わらない。


学生時代と同じ慧くんの姿に涙が止まらない。



慧くんの腕の中にどれくらいいただろう?


私を抱きしめていた慧くんの腕がゆるむ。



『ここで、・・・、この東京タワーでしぃに話したかったこと全部話すよ。そしてしぃに言ってなかった言葉を今日ちゃんと伝える。』



そう言って慧くんは泣き顔のまま笑った。


 

そして高校を卒業したあと、自分の周囲の人たちがアイドルって特殊な仕事に本格的に向かってく中、どうして大学に進学したのか話し始めた。

 




「こんなに深く帽子かぶってるし、メガネもかけてる。それに通い慣れてるんだから、今さらバレっこないって。」


誰もいない展望台の天井を見上げこうつぶやく。


「一体なんのつもりだ?」



・・・、♪、♪、・・・、


手すりにもたれ、天井を見あげている俺のポケットから鳴る電子音。



はい、はい。


今出ますよ。


誰もいないからか、電子音がやけに大きく展望台内に響く。



「わかった、出るって。」


鳴り続ける電子音。


画面を見なくてもわかる。


今から話す相手の大きな声で耳が痛くならないよう、俺は少し携帯を耳から離して通話ボタンをタップした。




『今どこ?』


「どこって、・・・、」


自分からここに行けって指示しといて何を今さら、・・・。


携帯から聞こえた声に呆れそうになる。



『ちゃんと行ってるよね?』


「ああ。」


『ほんと?』


「ああ、ほんとだよ。」


『よかったぁー。』


「あのさ、ここって俺がいつもきてるとこじゃん。なのになんで貸し切りの時間に俺一人でここにこなきゃなんないの?」


安心した様子の大ちゃんの声にこう言い、携帯を持ってない方の手でポケットを探る。


そしてそこから出した入場券を見る。


今ポケットから取り出した入場券、それは今朝、テレビ局の楽屋で大ちゃんからもらったものだった。







『おはようー。』


台本を眺めていると楽屋へ大ちゃんが入ってきた。


『今日もいい天気になりそうだね。』


そう言って両手に持ってるカバンを置いた。


「いつも思うんだけどその荷物の多さ、どうにかなんないの?」



ツアー先の地方へはもちろん、いつもの番組収録のときも、局から出発するロケのときも大ちゃんは多くの荷物を持ってくる。



「スマホや携帯ゲーム機の充電器、カミソリやローション、イヤホン、いろんな種類の筆記用具、あとシャツとか簡単な着替え。俺のこの荷物の多さでいのちゃんもみんなも助かったってことあるだろ?」


ま、・・・、確かにそうだけどね。



何か忘れものをした。


今あれがあれば便利なのに。



そんなとき俺も含めメンバーは決まって大ちゃんに


-あれ持ってる?-


-今これがあったらいいのに。-


こう言って大ちゃんを見る。


すると大ちゃんは自分のカバンからメンバーが必要とするものを取り出してみせる。



「けどさ、いい加減やめないとみんなのためになんないよ。」


『うーん、・・・、』


首を傾げた大ちゃんだけどすぐ、


『無理だわ。どんだけ多くなってもやっぱり今のスタイル崩すことなんかできない。』


そう言って置いたばかりカバンの一つに手を突っ込みそこから何かを取り出した。



『これ。』


「何?」


カバンから取り出した何か、・・・、俺の前に差し出された白い封筒を手に取る。


『今のいのちゃんに必要なもの。』


「え?」


『今日の仕事が終わったらその中に入ってるもののとおりにして。』







今朝、楽屋でもらった白い封筒。


その中に入っていたのは一枚の入場券。


3年前からずっと通い続けているところ、・・・、東京タワーの入場券。


けどそれは”一日一組限定、展望台、30分間貸し切り”の特別な入場券だった。



「ね、今朝言ってた俺に必要なものって何?」


ポケットから取り出した入場券の端を親指で軽く弾きながら聞く。


『もう、いのちゃん、まだわかんないの?』


少しイラっとした大ちゃんの声。


「まさかここが俺に必要なもの、・・・、だなんて言わないでくれよ。」



東京タワー。


ここは大切な場所。


しぃと俺にとって思い出の場所。


”必要”なんて言葉じゃ足りない。


俺にとってここはもうなくてはならない場所になってるんだ。




『違うよ!』


「じゃ、何?」


『うーんっ、もう!』


大ちゃんの大きな声がますます大きくなる。


『とにかく、そこにいて。いい?絶対そこから動かないでよ?』


ここまで言って大ちゃんは一方的に電話を切った。



「ふぅ、・・・。」


一体なんだって言うんだ?


大ちゃんの大きな声が聞こえなくなった携帯をポケットに戻し、手すりに肘をついてガラスの向こうに見えるビル群を眺める。





しぃ、この前は急な仕事が入ってきみのいる大阪へ行けなかった。


けど、近いうちに絶対行くから。


きみがいる大阪へ。



風に流れる長い黒髪。


意志の強さを表すキュッと結ばれた口。


果てしない未来を見ようとする力強い瞳。



しぃ、近いうちに俺はここできみへの想いを伝えるよ。


ずっときみに伝えてなかった言葉を。



「しぃ、・・・。」


『・・・、慧くん、・・・。』



え?


眼下に広がるビル群を眺めながらしぃを想っていたら後ろから声が聞こえた。



「しぃ?」



うそだろ?


なんで?


なんでしぃがここに?



『・・・、慧くん、私、・・・。』


恥ずかしそうに、ゆっくりこっちへ歩いてくるしぃへ俺は急いで駆け寄る。


背中から俺を照らすオレンジ色の日の光の中、俺は無意識のうちにしぃの腕を引き、自分の胸に抱き寄せていたんだ。



-------



お話していたとおり、こちらの伊野尾くんと栞里ちゃん、サクッと終わらせます(^▽^;)


だって大ちゃんと光くんとこちらの伊野尾くんとそれぞれの彼女とのコラボ話、早く書きたいんだもん。


『あーーっ!うめぇ。』


「ちょっと静かにして。」


『え?なんで?』


「なんでって、・・・・」


『これ、うまいもん。うまいもん飲んでなんでうまいっていちゃダメなの?』


シロップがたっぷり入ったアイスティーのカップの向こうから不思議そうな顔を見せるいたずら坊主、・・・、いや有岡くん。



「あのね、私が言ったのは”静かにして”。”うまいって言っちゃダメ”なんて言ってません。」


『ふ、・・・、はは、・・・。そのものの言い方、その表情、相変わらずだね。』


不思議そうな顔をしていた有岡くんが大声で笑った。


「だから、それよ。声が大きすぎるの。」


『?』


「もう、自覚あるの?3年前とは置かれてる立場も、あなたを取り巻く周囲の状況も違うって、・・・。」



平日、日中のオフィス街。


見たところ周囲には有岡くんたちのことを知ってるような若い女の子たちの姿はない。


だけど、有岡くんや彼のグループのことを知ってる人が周囲にゼロって保証なんてどこにもない。



「あのね、私が言いたいのは、・・・、」


『うーん、一応あるよ。』


私をさえぎりアイスティーのカップを軽く上げた有岡くん。


『確かに栞里ちゃんの言うとおり俺たちの置かれてる立場も、周囲の状況も変わった。』


「・・・・・・。」


『ありがとう、心配してくれて。でも、大丈夫。絶対わかんないって。』


ニコッと首を傾げる有岡くんに私は小さく横に首を振った。


『え?何?なんかおかしい?』


「ううん。もういい。」



私が何を言ったってムダってことね。

 

その笑顔、そのものの言い方。


あなたこそ変わってない。


置かれてる立場、周囲の状況は変わったけど、その笑顔とものの言い方、これは3年前と変わってない。



『変わってないよ。』


今私が思ったことと同じことを口にした有岡くん。


『変わってないのは俺だけじゃない。いのちゃんもだよ。』



いのちゃん、・・・。


慧くん、・・・。


有岡くんの口から慧くんの名前を聞き、私の胸がキュッとなった。



『きれいな景色も見せてもらった。おいしいアイスティーもごちそうになった。さて、ここら辺で本題に入ろうかな。』


「本題って、・・・。」


『俺が栞里ちゃんのいるここ、大阪に来た理由だよ。』


変わっていなのは自分だけじゃなくていのちゃん、・・・、慧くんもだと言った有岡くんは大阪城を背に私と並んで座っているベンチの上にアイスティーのカップを置いた。

 


『栞里ちゃんを迎えに来た。』


「はい?」


思いもしなかった言葉に思わず変な声が出る。


『聞こえなかった?んじゃもう一回言うよ。今日俺が大阪に来たのは栞里ちゃんを迎えに、・・・、』


「聞こえました。」


 

『そう。じゃ、行こうよ、東京に。』


そう言って有岡くんはまたニコッと笑った。

 


「無理よ。」


『どうして?』


「どうしってって、・・・、」


『仕事の都合がつかない、とか、こっちでの生活がある、とか、んー、あとなんだ?こっちで好きな人ができたとか、・・・、』


「違う!」


ツラツラ話す有岡くんに私は大声を出した。



違う。


こっちで好きな人なんてできてない。


私が好きな人は慧くんだけ。


慧くん以外に好きな人なんていない。



『うん、そうだよね?』


「有岡くん?」


『わかってるよ。栞里ちゃんが好きなのはいのちゃんだって。』


有岡くんは私をじっと見つめた。





『本当はさ、いのちゃんがこっちに来るはずだったんだ。』



今日と明日オフだった慧くんがこっちに来るつもりだったけど、突然仕事が入ってダメになった。


だから慧くんの代わりに自分が来たんだと話した。



「慧くんが来れないからってどうしてあなたが来るのよ?」


『いのちゃんの代理。』


「は?」


『もういい加減素直になったら?』


「素直って、・・・。」


『素直になっていのちゃんに好きっていいなよ。』


そう言って有岡くんはまたニコッと笑った。



『二人を見てるとまどろっこしいんだよね。』


「まどろっこしい?」


『そ。そんでもってイライラする。栞里ちゃんもいのちゃんもお互いのこと好きなのになんで一緒にいないんだろうって。』


ニコッと笑ったまま有岡くんは続けた。


『3年前からいのちゃんがずっと待ってる東京タワーに早く行ってあげなよ。』


「どうして、・・・。」


『あはは、・・・。その顔、なんで知ってるんだって顔だね。』


私をじっと見たままニコッとした笑顔を大きく崩した有岡くん。


『東京タワーのこと、なんで俺が知ってるのか。そんなことどうでもいいじゃん。大事なことはいのちゃんも栞里ちゃんもお互いのことが好きだってこと。』


そう言った有岡くんはすっと立ち上がった。


そして、


『うーーん。ここ、ほんとにきれいなとこだね。』


立ち上がり川向うに見える大阪城に向かって腕を伸ばした有岡くんが私を見下ろす。


『俺と一緒に行こう。』


「無理よ。」



そう、今は無理。


こっちで好きな人はできていなくても仕事はある。


今から俺と行こう、なんて急に言われても無理な話。



『無理って。じゃ、いつなら、・・・。」


「抱えてる仕事が一段落してから。」


『それっていつ?』


「いつって、・・・。」


『明日?明後日?3日後?』



有岡くんは私を見下ろしたまま話し続ける。


『二週間後?三週間後?まさか一ケ月もあとだなんて、・・・、』


「本当にわからないの。」



図面の作成が数件とそれに伴う強度計算。


この前仕上げた内装の再確認と材料の発注。


あと、クライアントとの打ち合わせと、現地への同行がいくつかある。



『仕事が大事だってことはわかる。けど、いのちゃんのことも大事なんだろ?』


私を見下ろしたまま話す有岡くんから私は目をそらしコクンと頷いた。



『わかった。じゃ、今日じゃなくていいよ。けど、・・・、』


有岡くんは一呼吸おいてこう言った。


『近いうちに絶対来て。いのちゃんが待ってる東京タワーに。約束してくれる?』


「有岡くん、・・・。」


『ふ、・・・、はは・・・。やめてくれよ。栞里ちゃんのそんなシケた顔なんて見たくないよ。』



今日東京へ行くことは無理。


明日も明後日も、そしてたぶん一ケ月後も無理。


近いうちに東京へ行く、なんて約束、簡単にできない。


こう思っていた私は今の有岡くんの言葉に少しカチンときた。



「シケた顔してごめんなさいね。けど、あなたに言われたくなんかない。」


『あなた、・・・、ね。』


「何よ?」


『ううん、別に。』


「何?名前で呼んでほしかった?それとも昔みたいに”いたずら坊主”って呼んだ方がよかった?」


『はは、・・・、それでこそ栞里ちゃん。俺の知ってる栞里ちゃんだよ。』


「もうっ。」


ふくれた私を見てますます笑う有岡くんにふとこんなことを思った。



「デリカシーのカケラもない、大声で話す、大声で笑う、思ったことはすぐ口にする、コーヒーが苦手、アイスティーもシロップをたっぷり入れないと飲めない、なんて超子どもっぽいあなたのことを好きになる人ってどんな人だろう?」


『いろんな花のいい匂いをまとう笑顔がきれいな人だよ?』


「え?」



-さあね。どんな人だろう?-


って答えが返ってくると思っていたのに実際返ってきた答えは違った。



『あとね、いつ店へ行っても、いつ家へ行ってもおいしいアイスコーヒー淹れてくれるの。』


「アイスコーヒー?飲めないんじゃないの?」


『うん。彼女、・・・、莉夏さんが淹れてくれたもの以外はね。』


有岡くんがベンチに置いたアイスティーのカップに目をやると、有岡くんは今自分が付き合っている人のことを話し始めた。



花屋さんで働く有岡くんより5つ年上の人。


バラエティー番組のロケやドラマの収録、いろんな雑誌の取材、歌番組への出演やリハーサル、・・・。


毎日を忙しく過ごす有岡くんを優しく見守り、支え、ときに叱ってくれる有岡くんの大切な人。



「なんか、・・・、以外、・・・。」


『へ?』


「有岡くんの口から女の人の話を聞くなんて。」


『俺だって男だよ!』


「あ、ああ、そうね。」



”男”、・・・、ね。


確かに言われてみればそう。



言うこと、やること、いちいち幼く感じるのは見た目と彼が持つ雰囲気からくるものなのかも。


今初めてこう思った。



実はしっかりしてて、頼もしい。


ちゃんと礼儀をわきまえてる。


・・・、なんて私にはとても見えないけど、実は彼女の前ではそうなのかも。




『忘れないでよ?約束だからね。』


だからそう言われても近いうちに東京へ行くなんて無理。


慧くんのこと、大事だけどでも、・・・。



『栞里ちゃん、わかった?』


私を見て笑う有岡くんに簡単に約束できないなんて思う私は会社に帰って驚くことになる。


だって、結局有岡くんが言ったとおりになったんだから。


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本当にお久しぶりにこのお話です。


約1年ぶりだってことに自分でもびっくりした(^o^;)


さっさと(←なんて言い方)この伊野尾くんのお話を終わらせて、このお話の伊野尾くんと栞里ちゃん、「Walk」の大ちゃんと莉夏さん、「スギルセツナ」の光くんと夏澄ちゃんとのコラボ話を書きたくなった(^_^;)


夏が終わったらエンジンかけます。(たぶん…)