コロワイドによるカッパ・クリエイトホールディングス(カッパ)の買収が漸く正式に公表されました。
これまでのレストラン事業(焼肉(牛角)やしゃぶしゃぶ(温野菜)等)にかっぱ寿司が加わることで、肉と魚のバランスが良くなるそうですが、財務的にもなかなか面白い内容なので簡単にまとめておきます。
1.買収ストラクチャー(支配権獲得保証型TOB)
コロワイドの100%子会社「㈱SPCカッパ」が買収の主体です(正直な名前ですね)。
SPCカッパがTOBによりカッパの32.2%(下限)~43.5%(上限)を取得し、その上で出資比率が50.5%になるところまでカッパの第三者割当増資を引き受けます。
32.2%を保有する既存筆頭株主の神明ホールディングが応募の意思を表明しているので、基本的に下限を下回ることはありません。
仮に少数株主が一切TOBに応募しなくても、32.2%のTOBと増資で必ず50.5%を取得できるという、支配獲得保証型TOBということになります。そういえばセブン&アイのニッセン買収もこんな感じでしたが、何となく少数株主保護の観点で問題がないのか、気になります。
TOB価格は1,048円(増資価格も同様)です。
TOBが上限応募の場合、TOB17.8百万株と増資5.8百万株で総額248億円、下限応募の場合はTOB13.2百万株と増資15.2百万株で総額297億円になります。
SPCカッパの資金調達は100%親会社コロワイドからの出資200億円と融資105億円、コロワイド自身はみずほ銀行から300億円の融資証明を得ているとのこと。
当面は50.5%で上場維持ということで、そもそもSPCカッパの設立の必要性がよくわかりませんが、買収に係る開示の簡素化、とかなんでしょうか。ちなみにコロワイドは連結納税を採用しており、SPCカッパは連結納税子法人になると思います。
2.買収価格はディスカウント?
上述の通りTOB価格は1,048円です。
カッパの案件公表前日10/26の終値1,107円に対して5.3%のディスカウント価格です。
コロワイドによれば日経等のリーク記事が出た10月2日以前の価格を参考にし、またボリュームディスカウントを考慮した価格とのこと。しかも第三者機関からの株価算定書は入手していないようです。
バリュエーションレポートなしとは珍しいですね。
リーク記事への怒りも感じられますが、リーク前日の10月1日の終値は1,064円(10月2日は1,141円)。その前1カ月平均でも1,060円。いずれにせよディスカウントじゃん、という感じではあります。
そんなディスカウント価格で大株主間の実質相対取引&第三者割当増資(有利発行には至らないにしても)で、支配権を異動させて問題ないのか、というのがますます気になります。
ところで、カッパの財務諸表を見てみると、2014/8末の連結純資産が152億円。これに対し1,048円ベースの時価総額が430億円でPBR2.8倍。
さらにnet Debtは164億円(内、短期債務が88億円)で企業価値ベースだと594億円になります。
一方、PLを見ると前期は営業赤字18億円に減損損失36億円等が乗って純損失71億円。今期予想では営業利益は8億円の黒字になるものの、第2四半期時点で減損18億円が計上されていて純利益は12億円の赤字予想。
減価償却費をざっくり35億円としてもEBITDAは43億円。EV/EBITDAでも13.7倍になります。
こう見ると、1,048円の評価でも十分過ぎる感じです。
むしろ元々の株価が高過ぎなんですね。買収等の思惑もあってのことかも知れません。もしそうだとすると、そんな株価に対してプレミアムを払う必要なんてありませんし、今回の買収価格も特に問題ではないように思います。
ちなみに本日10月27日の株価は、リーク報道のおかげで1,146円まで高騰し、午前10時の適時開示によって急落、結局前日割れの1,026円となりました。ディスカウント価格での希薄化&買収期待が遠のいた、というところでしょうか。
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ということで、今回はここまでです。