株主優待のIFRS上の会計処理についての雑感② (引当不要説?) | Accounting, Tax and M&A

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会計、税務、M&A等の話題についての分析、雑感、というか趣味の備忘録です。もちろんインサイダーではありませんので、全て開示情報と報道に基づくもので、推測を含みます。暇なときに更新しますので、頻度は低いです。ご了承下さい。


株主優待のIFRS上の取扱いの続きです。

もう少し調べてみたのですが、

KPMGのガイダンスに次のような記載がありました。

「4.2.430.50 In some cases, discount vouchers may be distributed to customers on a discretionary basis rather than as part of a sales transaction. Because the discretionary vouchers were not granted as part of a sales transaction, no liability is recognised for the vouchers distributed because there is no performance obligation; the voucher requires customers to make a purchase in order to obtain the discount. Therefore, the vouchers are treated as discounts against revenue when the vouchers are redeemed by customers.」

企業が(販売の一環としてではなく)任意で割引利用券を顧客に交付した場合、もちろんIFRIC13(カスタマーロイヤルティプログラム)は適用されないし、更に、企業が履行義務を負うわけではないので、負債計上も不要だということです。

つまり、将来、割引券が利用された際の収益が小さく計上されるに過ぎないと。

「However, the entity should assess whether the level of discounts awarded could have resulted in one or more onerous contracts in accordance with IAS 37 (see 3.12.630).」

但し、これが「不利な契約」に当たる場合は、IAS37に基づき不利な契約としての引当は必要だとされています。

これはちょっと意外でした。

不利な契約というのは、契約上の義務を履行することで損失が発生する場合を指しますので、例えば、割引券の内容が食事代の30%割引で、これが粗利率を超えるような場合は、その損失分(原価割れ部分)を引き当てるイメージなんでしょうか。

なので、将来の利用を見越した粗利益の減少分の引当が求められるわけではない、という立場です。

一方で、例えば優待券の内容がとにかく食事券2000円分とかであれば、2000円(の原価相当)を引き渡す義務があるので、こういう場合は負債を認識するんですかねぇ。

なるほどー。

・・・

但し、当然ですが、これは割引券の交付相手が「顧客」という前提であり、「株主」ではありません。

もしこれが「所有者(株主)の立場(capacity as owner)」で交付を受けているということであれば、資本取引として処理すべきではないか、という議論は依然としてあると思います。

しかし、もし、そもそも負債計上しないのであれば、資本取引として処理するものも何もないことになります(要するに仕訳なし)。

で、実際にその割引券が利用された際の割引分を資本取引(収益の増加と資本の減額)として認識するか?と考えると、さすがにそれは怪しいですよね。

一方、不利な契約として負債認識する(引当を行う)場合はどうでしょう?

いやいや、引き続き悩ましいな、という感じです。