藤井八冠叡王陥落 伊藤匠七段の快挙

   先日行われた叡王戦第五局、不敗と思われていた藤井八冠が敗れた。アベマで放送されていたのでしっかり見ていた。叡王戦は持ち時間が比較的短く、しかもチェスクロック使用だから持ち時間が無くなりやすい。今では将棋ソフトの評価値という形勢に関する評価が常に表示されているので、下手糞の私でもどちらが有利なのかよくわかるのだ。しかし解説のプロ棋士でもその数値が出ているから評価値通りの形勢という判断はわからないように思える。評価値とはあくまでも将棋ソフトの判断なのだが、それは間違いなく正確な評価であることに驚くしかない。この叡王戦でも終盤の入り口まで藤井八冠がリードしていた。しかしその差は藤井八冠でも当然わからない。それまで持ち時間でリードしていたがその一手に一気に逆転してしまった。そして指された手は、攻める手でなく受ける手だった。将棋ソフトの推奨は攻める方だったが、さすがの藤井八冠でも読み切れなかったということだろう。その手を境に攻守転換して、伊藤七段が快調に正解手を選び続け、たくさんの藤井八冠の罠を見破り投了に追い込んだのだ。見事としか言いようがない。伊藤七段は竜王戦、棋王戦の挑戦者として名乗りを上げたがどちらも四連敗、三連敗と歯が立たない状態だったが、この叡王戦で見事に一矢報いたのだ。過去に大山と升田、中原と米長、羽生に佐藤、森内の好敵手がいた。藤井一強から伊藤というまさに同年齢の好敵手の存在とみて間違いないだろう。やっと将棋界が面白くなったと感じるものであります。