沙耶ちゃんのことをここに書き込み始めたのは、8月1日の深夜だった。
実はその前日の昼間、俺は思いがけない人に会った。
そのせいで、過去を掘り起こす必要が生じたようなもんだ。
一作目から登場させた、泥沼に沈んで死んだ坊主。
ヤツは、バラバラだった母親の体が再生した後から、姿を消してしまった。
成仏したかどうか俺にはわからなかったから、それからもずっと花は供えに
行ってたんだ。
7月の最終日は溶けそうなぐらい暑い日だった。
小粒のひまわりと缶ジュースを、今は埋め立てられてる沼のほとりに
置いて立ち去ろうとしたら、
60は越えているだろう女性に声をかけられた。
「○○の同級生のかた?」
ちょっと驚いた。○○っていうのは、俺の現実の名前だったから。
その女性は坊主の母親だった。 ……
俺、坊主が子どもの姿だったんで、てっきり母親も若いもんだと思ってたけど、
考えてみれば、死んだときに子どもだっただけで、その後何年(何十年?)も
経っていたわけだ。 ……
適当に話を合わせながら雑談していたら、面白いことがわかったよ。
俺と坊主は、同名、同生年月日だったらしい。
俺ね、ずっと勘違いしてた。
坊主は沙耶ちゃんに惚れてて俺を敵視してるから、グロテスクな妄想を
見せるのかと思ってたんだww
けど考えてみたらさ、
坊主がパーツ集めだと教えてくれなかったら、俺はわけがわからないまま
妄想で狂っていたかもしれない。
今は俺、多少変な方向ではあるけど、平和で現実的に暮らしてるわけ。
過去のオカルト経験なんかもうどうでもいいぐらいに。
だけどもしこの先、縁のある坊主とまた再会することができるなら、
忘れちゃいけないだろ。このきっかけは。
だから書き残した。
巨大掲示板の中で顔の見えない人からレスをもらうたびに、
『もしかして この中の1人は、坊主なんじゃないだろうか?
なんて馬鹿馬鹿しい想像をしてる。
だから、いろんな意味を込めて、
「ありがとう」
と返事をすることにしている。