「自閉症の思春期は荒れる」「今よりもっと大変になる」と聞いてはいた。
息子が小学4年になると暴言暴力奇声で荒れて、エビリファイやリスパダールなどの精神薬を始めた。
私の一言、ささいな行動が気に入らず、とにかく何を言ってもしても突っかかってくる。
どうして怒っているのか全く分からない。
離れようと逃げても付きまとってくる。
自分の思う通りの言葉を言わされたり、行動のやり直しをさせられたり。
しないともっと荒れるので、
とにかく癇癪や暴力を起こさないよう、なんでも要求通りに動き、
地雷を踏まないようにと息子の奴隷のようになっていった。
薬を増やしても、変更しても荒れはおさまらず学校も行かなくなり絶望。
施設に預けてしまいたい、一緒に暮らすのがしんどい、入院させてしまいたい、いっそのこと心中でもしたほうが・・・
そんな時に出会ったのが「おめめどう」
代表の奥平綾子さんは自閉症の息子さんをもつお母様。
TEACCHプログラムが日本に紹介された頃、いち早く取り入れて熱心に視覚的支援もされてきた。
自閉症児マンガ「光とともに」第1巻のあとがきも担当されている有名な方。
そんな奥平さんも、息子さんの思春期は大変だった。
おめめどうの書籍「しくじり思春記」や
ハルさんのしくじり思春記 - (株)おめめどう (ocnk.net)
「思春期Q&A」
ハルさんの思春期Q&A - (株)おめめどう (ocnk.net)
対話から始める 脱!強度行動障害 | 日詰 正文, 吉川 徹, 樋端 佑樹 |本 | 通販 | Amazon
「対話から始める 脱!強度行動障害」の 中の奥平さんの執筆部分
第6章「しくじり思春期~母子分離の重要性~」
これを読むとなぜ視覚的支援をしていても思春期に荒れたのか、
うちの子もどうしてあんなに小4から荒れたのかストンと納得できた。
母子分離不全
癇癪を起こさせまいと、息子の考えを常に先回りして監視。
おめめどうでいう「エスパー」
熱心な親ほど思春期の母子分離が難しく、子どもはその窮屈さから不適応行動を起こし、
親はその不適応行動を起こさないようにと更に先回り、
そうすることでより一層親子は不自然な密着をしていく。
常に母が先読みしているので、自分の考えは全て母が分かっているものと思い込むのだ。
これが「脳みその同化」
だから、自分の思い通りに行かないことは「エスパーしそこねた母が悪い!」という理論なのだ。
定型児には親を育てる力がある。
思春期には「ウザい!」「うるせえ!」など自然と親と距離を保つことができる。
しかしながら親を育てる力が弱い自閉症児はそれがとても難しい。
自閉症児とはいえ、思春期に「親から自立したい」という気持ちは当たり前にやってくる。
それなのに全ての行動を母に先読みされ、離れたいのに離れられないとすればどうだろう?
そのイライラもまた密着している母にしかぶつけようがなかったのだ。
お子さんが10歳前後で荒れ始めた、一生懸命してきたのに、視覚的支援もしてきたのに、
なぜ?どうして?どうすればいいの?
と言う方は、是非一度奥平さんの思春期の本を読んでみて欲しい。