妄想劇場SS

妄想劇場SS

その時々はまった漫画を二次創作します。でも一頁で終わるくらいのSS。腐向けも載せてもいいかな~?とか思いだしています。長編はpixivで書いてます!

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好きだなーって思った。
タバコ吹かす横顔とか
舌打ちして眉寄せる顔とか
青筋立てて凄むとことか
ゴミ箱蹴り上げる姿とか


まるで私の考えがお見通しの様に笑う顔とか。


「どうした?」
「ぅえっ!?」
「は?」

ぼーっとし過ぎてたようで、手元の数プリは先程から全く進んでない。折角教えて貰ってるのに。

なにやってんだ私は。


「真冬ちゃーん?」

低くなった声に顔が上げられない。
これは失態だ。
やっちまった。


「い、や、、その……」
「なぁに考えてやがったのかなぁ?」
「(やがったって、あんた仮にも教師だろー)」
「んん?俺様がてめぇの為にわざわざ時間を割いて教えてやってんのに、なにボケーっとしてんだ」

さっさとしろ、と幼馴染みの教師が数プリの問3をペン先で突く。ああその問題は、、


「残念なお知らせがあるよ鷹臣くん」
「脳みそのシワが無い話か?」
「それはもう既に告知済み」
「……そうか。ツルペタか」
「……それはなにか違う表現じゃないかな」


ツルペタとは何だ
ツルペタとは。それじゃまるで絶壁のお胸だと言ってるようなもんじゃないか。失礼な。絶壁までじゃない。それなりに脂肪はついてる。

ささやかながら、、。
……。
……。


いやそーじゃないんだよ鷹臣くん。


余程視線で訴えたのか。


「分かった分かった。AAAでもツルペタとは言わねぇな。俺が悪かったからんな目で訴えんな」
「……(トリプルAとかあんの?)」

泣きそうになった。
そんな下着、買ったこと無いし。


「脱線しすぎだ真冬。ほらプリント終わらせろや」
「あ、うん」

残念なお知らせを伝えきれないまま問題に挑むが、やっぱりお知らせはするべきだったようだ。はす向かいに座る男が、何やら拳を握り震え出した。

これはやばいんじゃないかな?
流石に命の危険を感じる。
遅いかもしれないがやっぱり言うべきだね。




「鷹臣くん。
……
……
何で数学に英語を使うの?」



「……言いてぇのはそれだけか」

「辞世の句ならもう少し考えさせて貰いたい」


取り合えず真剣に伝えてみたのに。



ゴスッッッ!!!



「っっったいっっっ!!!?」

脳天から煙が出てないだろうか?痛いと言うより熱い。更に言うなら焦げてる気がする。凄いな鷹臣くん。拳骨で発火させられるんだ。

もう人間業じゃな…

「ぁあ??」


ーー怖くてこれ以上妄想不可です。


「はぁぁ……お前なぁ」

あ、この困った顔も好きだな。
項垂れたおでこを拳骨で支えて、ジロって上目遣いに睨まれるのも好き。

「ちっ…時間がねぇっつーのに」

その舌打ちも好き。

「はぁぁ、どーすべ」

その溜め息も好き。
凄いなー好きって。
嫌なとこなんて無くなるんだ。



まるで降参するように両手を挙げ、後ろのソファに寄っ掛かった鷹臣に目を向けると、ソファの向こうにある物が目に入った。


入れないようにしてたのに。
それこそ“どーすべ”ですよ、鷹臣くん。



「後1時間もねぇじゃねーか」
「60分っつーやつだね?」
「ばぁか。1時間ねぇんだから60分もねぇっつーの。あって50分か?」


50分


そっか。
後50分なんだ。


腕時計に視線を落とした元担任。
うん。
その姿も好き



ーーーーだったよ。



「鷹臣ー」
「おう」
「真冬ちゃんの補習プリント終わったぁ?」
「終わらねぇ……」
「え?あれから1時間経ってるんだけど」


うん。
でも最後くらい時間ちょうだいよ。
この先の鷹臣くんの時間、全部持ってっちゃうくせに。独身最後の2時間くらい幼馴染みの女の子にくれたっていいじゃないか。バチは当たらないと思うよ?



もう出るだけか?と鷹臣
後は真冬ちゃんのソレだけ(笑)と、

結婚相手の潤子さん。




好きだなーって。
鷹臣くんの色んなとこ、好きだなーって。

自覚するのが遅すぎた。


まぁ遅かれ早かれ相手にしちゃ貰えないんだけどもね。なんたってAAAですから。

でもさ。
でもさ?

Aって高評価だよね
じゃあAAAって凄い高評価じゃん?

何気に前向きしてみるよ?



「た、鷹臣くん」
「んぁ?解けたか?」
「あ、解けてない」
「お前、ねぇ……はぁ」
「いやそーじゃなくしてだね」

どうどう。
人の話を聞いてくれ。

「数プリは言い訳で」
「良かねぇわ」
「違う。良いわけじゃなくして」
「っと、潤」

突然なんだ。
人の話の腰を折るな。
全く、本当に元教師か?

「ティッシュティッシュ。真冬が」
「??」

私がなんだ。
鼻血でも出ましたか?

「タオルでもいい、早く持って来い」
「はいは、、真冬ちゃん?」
「んなに難しい問題でもねぇのによ」


そう言ってまた困った顔する。
へへ、やっぱ一番好きなのはこの顔かなー。
見納め見納め
くわばらくわばら。

ん?くわばらは違うか。






「泣くなよ真冬」





……え?





「ちょい待て、な?」
「……」


タオルを押し付けた幼馴染みはソファの向こうにある封をした段ボール側面に記載してある文字を指で追い、ああこれだとその中のひとつの封を開けた。


「んー、これか」
「?」
「やるよ真冬」
「なに?遺品?」
「先に死んでみっか?」
「間違った。生前分与か」
「売られた喧嘩は買うべきだよな」
「えーと?ん?なにこれ」
「馬鹿でも分かる参考書だ。俺様の筆跡つき」


ありがたく貰っとけ、とか
ありがたいに決まってんじゃん。
つーか涙、、止まんないし。


鷹臣くん。
鷹臣くん。
鷹臣くん。


ずっと追いかけてきたんだよ。
怖くても追いてかれても。

悲しくて記憶がこんがらがっちゃったけど、それでも鷹臣くんの軌跡を追い掛けたんだ。


鷹臣くん。
鷹臣くん。
鷹臣くん。


好きだなーって
思ったんだよ。


無茶ぶりする私に困るその顔も。
照れる私に意地悪げに笑う顔も。
人間業じゃ無い沢山の行動すら。


好きだなーって。
AAAと評価下された私のお胸さんがキューって


「た、かおみ…くん」
「あ?」


痛いくらいに締め付けるんだよ。


「教師引退して教えるの下手になったんじゃない?やばいよーやばいよー?次の学校はあっちゅー間にクビじゃ……」
「言いてぇのはそんだけかぁ??」


ーーふふふ
その喧嘩上等も好きだったよ。


「よしっ!黒崎真冬!自滅します!」



勢いよく立ち上がって座ったままの最強幼馴染みに拳を向けた。



ばいばい鷹臣くん


「残りの時間、手合わせしてよ!」



きょとん、とした目がゆっくり細められ
ユラリと焔が立ち上がる。



最強幼馴染み
佐伯鷹臣。




ばいばい
好きだったよ。




隅に寄せられた段ボール
玄関に避難した潤子さん
壁掛け時計もカレンダーも
褪せた壁紙も空っぽになるこの部屋で。


私の初恋を
全て全て


鷹臣くんの手でボロクソにして貰おう。



鷹臣くんの拳がかする度
喧嘩上等の瞳が悦ぶ度

初恋が
ボロボロと
私から剥がれ落ちる。


好きなんてもう言えないけど
好きだったなんて言うつもり無いけど。




チャイムに気をとられた鷹臣くんの脇腹に私の膝蹴りがめり込んで。




「………っっっふ、ぅっ」




歪んだその表情は初めてだな、とか呑気に思った。でもこれでやっと言える。





「おめでと、鷹臣くん」




ばいばい鷹臣くん。



ばいばい鷹臣くん。





捨てるには大きすぎる私の初恋
それでも捨てるしかないんだね



ばいばい


鷹臣くん