📩◾️『大人のための哲学授業』(西 研/大和書房)A


  *西研さんの本は、これまでに、2、3冊読んだことがあるはず。バランスのよく取れた、易しい筆致が印象に残っている。

  「毎日新聞」に連載されていた「哲学の練習問題」は毎回楽しみにして愛読していた。日常の話題を取り上げ、権威や伝統に寄りかからず、自分の頭で考えることの実践の様子を描いていた、と思う。

  この本も、それに近いような本で、カルチャーセンターや大学での講義が元になっていて、分かりやすく書かれている。


  哲学を、西洋語からの難しい固い翻訳語でではなく、日常のことばで語ることが、日本で流行(?)し始めたのはいつ頃のことであったろう?フランスの哲学は、日常会話の単語を使って語られる(語ることができる)、という事を聞いたことがあるが、私はそれはとても良い事であると思う。難しい哲学も、その根は日常の生活の中に在るはずだから、日常のことばと哲学の語彙がかけ離れていないほうが現実(実際)的だ、と思う。西研さんも、執筆に当たっては、これを念頭に置かれているのでは、とわたしは思っている。(なんてことを軽々に言ってはいけないのであろうが。なぜなら、わたしは氏の本格的な論文を読んでもいないし、一般向け(?)の本を、たかだか2、3冊、読んだだけであるし、さらには、もともとわたしは難しい哲学書は読めない(能力がない)のであるから。)筆者と読者が分かりやすい言葉で繋がり、より良く生きる道を共に探ろうという意思があると思われる。


  *****まず、西氏は、哲学をこう定義している。


  《哲学とは、考えの"普遍性"(普遍洞察性)を目指すゲームである


  1、 理路(理屈)のかたちにするーーーー「〜だから-------だ」というかたちで考えを提出する。

  2、 納得がすべてーーーー権威や伝統に従わない。自分が納得しなければ受け入れない。

  3、 抽象概念を用いるーーーー数、全体と部分、のような抽象概念を用いる。

  4、 なるべく根本から考えるーーーーどこから考えれば、いちばん深いところから考えたことになるか、と問う。 》



 🔹この項続く

Thanks for reading.🦜