📩◾️『偽りだらけ 歴史の闇』(佐藤洋二郎/ワック)〈4〉


  ▪️《韓国は現在、天皇のことを「日王」と呼びます。王というのは天皇(皇帝)より立場が下になります。〔----------〕

  日本は元々独立国で、ヨーロッパの植民地になったこともありませんし、中世以降、冊封国にもなっていません。冊封国とは中国王朝に対しての従属国のことです。少なくとも朝鮮は、7世紀の唐が成立してから冊封関係を結んでいます。

  日本は島国で地理的なこともありますし、江戸幕府の鎖国ということもあり、そういう関係になっていません。むしろ秀吉などは明を攻め落とそうとしていたほどです。確かに国内において「天皇」という言葉は、明治になって統一して使われ出したものですが、朝鮮王や琉球王と違い、「日王」とは名乗っていません。

  それなのに「天皇」を「日王」と言うのは、どういうことでしょう。かつて天皇は大王・大君・帝・帝王・内裏・禁裏、あるいは天子と、時代とともにさまざまに呼ばれていました。天皇(すめらみこと・すめろき・すめらぎ・すべらぎ)という言葉そのものは、平安時代の天武朝からありましたが、呼び名を統一したのは明治からです。

  それ以来、世界の国々はそう呼んでいます。わたしが知る限り、韓国以外に「日王」と呼ぶ国はありません。

  これは国家に対する侮辱ということになるのではないでしょうか。他国に対する敬意がないということにもなり、非礼ということになるはずです。朝鮮の宗主国であった中国王朝でも言っていません。》


  *佐藤氏には珍しく、かなりストレートな発言をしていると思う。非礼は許せないということでしょう。根底には、言葉は人間が発するものであり、その人間の本質を自ずから表すものだ、という基本的な認識があると思われる。


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  《どの神社⛩も、拝殿の前には注連縄(しめなわ)があります。注連縄は藁でできています。藁の元はお米です。

  そしてあの格好は雄の蛇と雌の🐍蛇が、交尾をしている姿だと言われています。つまりセックスをしているということです。

  蛇は子どもをたくさん生みます。その上なかなか死なない生命力があります。現代の機械化の時代と違い、子どもがたくさんいれば労働力になります。

  労働力があれば田畑や新田開発もできます。多くの穀物や食料を手に入れることができれば、わたしたちの生活は豊かになります。あの注連縄には子どもがたくさんできて、お米も多く採れますようにとの祈りがあるのです。》


  *****佐藤氏はあとがきに言う。

  ≪わたしが神社や離島を歩いて愉しんでいるのは、そこに文字を持たない神話や民話、伝承や伝説があるからだが、案外とこちらのほうが「歴史」ではないかと思うことがしばしばある。〔-------〕

  本書は〔------〕、物語ふうに、私流の歴史観を書き綴ったもので、疑念や疑問を持つ人もおられるかもしれないが、興味を持っていただいた方々の歴史観の指針にしてもらえればと思っている。≫


  *自分が見たもの、聞いたことを、文学の根底に据える私小説作家(氏は、現在『「私小説」を歩く』と題して、ある文芸誌に作家の足跡、創作の現場を辿る作品を連載中である)として、自己が築いてきた日本の歴史を語る強い意志に感服しました。今後も、神社と離島から、また新鮮な視点を展開してくれることでありましょう。もちろん本業(?)の小説も。


  🐍この項終わり⛩

Thanks for reading.🦜