※※ この本を読んで一言 ※※

倉阪さんのマラソンの経験を生かした、それでいて独特でコミカルな雰囲気、そしてあっと驚く結末の作品!

あまりバカミスっぽくないですが、これは倉坂さんにしか書けない作品ではないでしょうか。

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久しぶりに読む倉阪鬼一郎さんの作品です。

多作な倉坂さんなので読むべき作品はたくさんあるはずですが、私は倉坂さんの”バカミス”しか読んでいない偏った読者です(汗)。

 

この「42.195」はマラソンを趣味とし、フルマラソンの経験を生かした作品だと思いながらも、公式で「バカミス」に分類されている作品なので、今までのような「仕掛け」が散らばめられているのかと警戒しながら読み始めました(笑)。

 

内容は本格ミステリらしく誘拐の謎、犯人の意図など分らない事だらけでした。

しかし2つの事件が、田村のマラソンと天羽のマラソンの経過とともに喜多川の目まぐるしい推理が展開されるので、疾走感がすごく、次が気になりサクサク読めます。

 

残酷な誘拐、それに対応するために目まぐるしい喜多川の推理の展開という、本来であれば殺伐とした雰囲気になりそうですが、どこかコミカルな雰囲気が全体を包んでいるのは倉坂さんの筆致ならではだと思います。

 

本の構成としての「仕掛け」がなかったのが少し残念ですけどね。

 

ちなみに上で私は分からないことだらけと書きましたが、「首魁」がブラッディ・ティアーズだというのは当たりました(笑)。

 

この辺は倉坂さんのバカミスを読み慣れているからこそ分かったと思っていますが、一般的にこの「首魁」は受け入れられないのではないかと心配しています。

 

さて倉坂さんのバカミスは数があまり多くないので、次に何を読むかは決まっていませんが大切に読んでいきたいです。

 

(個人的評価)

面白さ  ☆☆☆☆

本格推理 ☆☆☆

バカミス ☆☆

驚き   ☆☆☆☆