※※ この本を読んで一言 ※※

日常系ミステリ作品でサクサク読めます。

そして久しぶりに倉知淳さんのすごさを実感しました。

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ここのところ、明るい作風の作品を読んでいないな~と思い、そして久しぶりに倉知淳さんの作品を読むことにしました。

 

倉知さんと言えば、どちらかと言えばほのぼのとした作風のイメージがありますし、タイトルからしてほのぼのしてそうなので今回読むことにしました。

 

倉知さんの作品は令和4年7月に「ほうかご探偵隊」を読んで以来なので一年以上ぶりになります。

 

内容はさすが倉知さんと言えるもので、短編集ですが毎回アッと驚かせてくれます。

そして期待した通りほのぼの系でした。

 

そしてこの作品の何がすごかったのかは、巻末の解説で青井夏海さんが分かりやすく解説してくれていて、すごく納得しました。

 

『ほかの名探偵なら「誰がやったのか」とか「どうやってやったのか」など済んだことを推理すれば用が足りるところ、辰寅叔父さんは「これからどうすればいいか」を示してあげなくてはいけないのです。それも、見抜いた真相は言わぬが花、占いの形で丸くおさめなければなりません。』

 

確かにそう考えると占い師もなかなか面倒くさい気がして、辰寅叔父さんは職業を間違えている気がします(笑)。

終盤に辰寅は知りたくもない事が分かる苦悩をポロリと言っていますし、美衣子も辰寅の苦悩を思いやっていますから。

 

それでも基本的に善人の辰寅叔父さんは、自分の能力を使っていかに労力が少なくて、かつ人を助けられるかをいろいろ考えた末に決めたのでしょう。

 

そんな辰寅が主人公なので「ほのぼの系」でありながら全体は暗い・・というか虚無感が漂っているというか・・うまく表現できませんがそんな感じです(汗)。

 

これは辰寅の生き方を倉知さんの筆致で表現しているせいでしょう。

 

そして読んでる途中、この作品は作風からして何となく倉知さんの初期の作品だろうと思って読み終わった後に調べたら、やはりデビューから3作品目だそうですね。

 

そのせいなのか、もう一人の主人公の美衣子がどうしてもウザく感じます。

現実の好奇心あふれる女子大生はこういうものなのかもしれませんが、「お客さん」の観察や、取っている行動が可愛げがなく感じます。

 

もっとも倉知さんは敢えて美衣子をウザく感じるように書いたかもしれませんね。

 

倉知さんの作品はまだまだあるのでこれからも読むのが楽しみです。

 

(個人的評価)

面白さ  ☆☆☆

登場人物 ☆☆

驚き   ☆☆☆

ほのぼの ☆☆