※※ この本を読んで一言 ※※
この作品のジャンルは・・ミステリ要素、ホラー要素、ジュブナイル要素が混ざったなかなか味わい深い作品でした。
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この作品は栄えあるメフィスト賞受賞作なので当然のごとく購入して読んでみました。
作者の小路幸也さんの作品自体初めてで、事前情報も一切遮断してから読み始めたので、タイトルからどんな内容か全く想像ができない状態で読み始めました。
最初、”彰が人の顔がのっぺらぼうに見える”という不思議な現象から始まるので、一体どうなることやらと思い、ワクワクして読み進めました。
ミステリモノとホラーモノが融合したものかと思いましたが。
しかし全体としては、キョウとその同級生たちの活躍(?)の話なので、子供を主人公としたヒーローモノ、もしくは恭一の小学五年生の夏の”キョウ”の頃の思い出話なのでジュブナイルモノ、もしくは青春小説とも言えるのではないでしょうか
この作品の佳多山大地さんのあとがきによると、この作品の中の「パルプ町」の様子は小路さんの生まれた北海道の旭川がモデルだそうですね。
昭和時代に生まれた人であれば、パルプ町とは詳細は違っていても、この作中に出てくる描写を読むと、どこか懐かしい子供時代を思い出すのではないでしょうか。
話の内容としては、「違い者」「解す者」「稀人」というものが 何だかあいまいなまま物語が終わったので、今のところは「そういうものなんだ」と納得するしかないので、正直面白かったかと言われれば微妙なところです。
しかし面白さとは別のベクトルの「何だかよく分からなかったけど味わいのある作品」であり、印象に残り続ける作品だと思います。
こういう作品が受賞するのがメフィスト賞の懐の深さであり、最大の存在理由であると思います(笑)。
小路さんの作品を調べてみると、まだまだたくさんあるので、そのうちまた別の作品に出会えるかもしれません。
最後に全くどうでもいい事ですが、特に印象に残ったシーンは・・
カビラがドパッチにバットのフルスイングで胴体を殴られて死んだと思ったのに、事前に服の下に義体を着込んで無事だった。
というところは、あまりにそのまんま漫画的な展開だったので心の中で「マンガかよ!!」ツッコんでしまいました(笑)。
(個人的評価)
面白さ ☆☆
ミステリ ☆☆☆
懐かしさ ☆☆☆☆
味わい深さ ☆☆☆☆☆