※※ この本を読んで一言 ※※
女性弁護士モノを読んだのは・・多分初めてです。
生き生きと活躍する魅力的なキャラクター、いろいろな要素が絡まりながらも最後に見事に収束していく展開。
久しぶりに私好みの傑作だと感じました。
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新川帆立さんの作品を読むのはこれが初めてです。
新川さんのデビュー作でありながら、「このミス」の大賞とのことで、どんな物語なのかワクワクしながら読み始めました。
主人公の麗子は最初は「金の亡者」とも言えるくらい金が大好きで、当時の彼氏をこっぴどく振ったにも関わらず、その時からどこか憎めないキャラでした。
それが物語が進むにつれて、「お金より大事なもの」を学び、最終的に麗子の口からその言葉が出るようになり、弁護士としても人間的にも成長を感じました。
また少なくない他の登場人物も全員がキャラが立っていて、それでいて誰も嫌味ではないというのは、ひとえに新川さんの筆致のなせる業でしょう。
またストーリーも荒唐無稽な遺言状がどんな展開をするのか全く読めず、いつも以上に先が知りたくて読み進めてしまいました。
新川さんはご自身も弁護士経験があるというから、まさにこの物語を描くための法律の知識はあるでしょうが、それでいて殺人トリックや登場人物の親子関係を考えたり、そして多岐にわたる要素を見事に収束させるストーリーを考えたりと、それが綺麗に1冊のミステリ小説としてまとめ上げられているのは、まさに新川さんの才能のおかげでしょう。
久しぶりに私好みの傑作に出会えたような気がします。
ところでこれを読んで弁護士というのは大変な仕事であるんだな~と思いました。
一般的に弁護士と言えば高給だと思われていますが、実際は激務で大手の顧客がないと思うように稼げないようですね。
そして弁護士は依頼人の最大の利益になるように法律を駆使するのが仕事なので、一般人から恨まれるというある意味で因果な商売であると改めて思いました。
剣持麗子シリーズもまだあと2冊ありますし、他の新川さんの作品も読んでみたいです。
(個人的評価)
面白さ ☆☆☆☆☆
登場人物 ☆☆☆☆☆
展開 ☆☆☆☆☆
ミステリ ☆☆☆☆