※※ この本を読んで一言 ※※
この作品はジャンル的にイヤミスではないと思うのですが、私はイヤミス的な感じを受けたため、終盤に香月が出るまでは読むのがつらかったです(汗)。
登場人物の中で悪いのはいったい誰なのか?どうすればよかったのか??などいろいろ考えさせられる作品でした。
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佐藤正午さんの作品を読むのは初めてです。
いきなりエピローグ的な男性(古川ミチルの夫の香月)の語りで始まったので、香月とミチルがメインの「身の上話」が進行していくのかと思っていました。
香月は終盤に出て来ますが、香月が出てくるまでの展開は私はとても「イヤミス的」な感じを受け、読み進めるのがつらかったです。
何がそんなにイヤミス的なのか・・私もよく分かりません(汗)。
ミチルのその性格のせいなのか、豊増のせいか、タテブーのせいか、竹井のせいか、それとも最終的に誰も幸せにならないからか・・とにかくミチルの様子は読んでいて腹が立つやら、危なっかしくて見ていられないやら、複雑な気分になります。
作中ではミチルの周辺で4人(久太郎、豊増、高倉、立石)が死んでいます。
どうしてこうなったのか、どこを間違ったからこうなったのかを考えた時、やはりミチルのその煮え切らない、後先考えない短絡的な性格のせいだと思います。
突然東京に行かなければ、東京からすぐに帰ってきたら、2億円の事を話していたら、高倉が久太郎を殺したときに通報していれば、等の「たられば」が何回もあったのにミチルは何もしなかった事が最も大きな原因であると思います。
また竹井が見た目がよく頭もいいがサイコパス的な性格だった事もミチルにとって不運だったと思います。
香月はいい人だと思ったんですけどね(汗)。
過去にカッとなって妻を殺してしまったことの報いがきたのだと思いますが、竹井の脅しに屈して自殺することなく、警察に行くことを決意したことがせめてもの救いだと思います。
何年かして香月が出所したら、ミチルと子供と過ごせたらいいと思います。
しかしその時が来たらまた竹井が邪魔してきそうですけど(涙)。
ちなみに香月が警察でミチルの過去を話しても、竹井の推論のとおり警察はミチルが久太郎たちを殺したと思うでしょうし、久太郎たちの死体が見つからない限り竹井を罪に問うことはできないのが悔しいです。
読み終わってから調べたら、この作品はNHKでドラマ化されてるのを知って驚きました。
暗いドラマだったんでしょうね(笑)。
(個人的評価)
面白さ ☆☆
ミステリ ☆☆
暗さ ☆☆☆
イヤミス度 ☆☆☆