なぜこの本を買ったのか思い起こすと、インターネットでミステリー小説を検索してバカミスだということで買ったと思いますが・・正直買っていたことを忘れてました(汗)。

藤岡真さんの作品も読むのが初めてです。

 

いつもどおり、読む前に裏のあらすじは読まないでいました。

しかし表紙に小さく「伝奇ミステリー」と書かれてますし、タイトルから想像するに旧家の者が伝説になぞらえて殺されていく物をイメージしていましたが、スケールは変な方向に大きかったです。

 

読んでいる最中は終盤になるまでモヤモヤ感がずっと付きまといます。

人智を超えた力が存在する世界なのか?それとも殺人には何かトリックが存在しているのか?

警察と町がグルになって殺人事件をもみ消そうとしているのか?などなど・・

私にはさっぱりわからないまま物語が進行していきます。

 

まさに読者は作中の主人公の江面の心情と同様、居心地が悪く、この状況は何かがおかしいと思うことでしょう。

 

それが六色金神殺人事件はミステリーツアーだっとは!!

それが判明したときは”その手があったか!!”と見抜けなかったことを悔しく思いました。

と同時に、バカミスと言われていたのはこの事か~と思いました。

 

しかし私はバカミスだとは全然思いません。

ちょっと拍子抜けはしましたが、ミステリーツアーだと分かれば今までの展開も納得できますからね。

 

そして最後に六色金神殺人事件とは別の事件(?)も進行していたと読者を驚せかにきます。

栗栖役の谷村が鬼畜な奴で江面を狙っていたのを裏で未然に防いだり、鹿島と謎丸の蘇神歌をめぐってのやり取りなどがあります。

 

しかしこれがまた微妙な感じなのです。裏で進行している事がスケールが小さくしょぼいので、ミステリーツアーだったと判明した時の脱力と、その裏での攻防(?)のしょぼさで読み終わった後はなんとも切ない気分になります。

 

今回書く感想がこれで終わると短すぎるので、ちょっとだけツッコミを入れてみます。

 

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超古代史で”町おこし”は町としてマイナスにしかならないのではないでしょうか。

発見された文献を基にした超古代史及び超古代文明は私だったら単にいかがわしい、というより偽書の産物という思いしかありません。

 

なのでもしそれを町長などが町を挙げて協力をするということは、税金を学術的に信憑性のないものに費やし、偽の歴史を自治体が吹聴する事になると思うのです。

 

しかし改めて調べてみると、超古代史が町おこしに利用された例もあるそうです。

それって怖いことだと思います。

 

作中でも名前が出てくる「竹内文書」が超古代文明の書として有名で、この「六色金神殺人事件」は竹内文書がモチーフになっていると思います。

他にも偽書として「東日流外三郡誌」が有名だと思います。

偽書も実害が出ない程度に楽しむ分にいいと思うのですけどね(汗)。

 

しかし教科書にも出てくる「古事記」や「日本書紀」の歴史書と呼ばれるものも内容の真偽を証明できるものはおそらくないでしょうし、当時の為政者の都合で書かれた内容もあると思うのでそのまま信じることはできないでしょう。

 

ただ「竹内文書」や「東日流外三郡誌」と違うのは、書かれた年代が明治時代や昭和時代ではなく、奈良時代に編纂されたとされているので、内容の真偽はともかく当時の記述が残されていることが貴重なのでしょう。

 

もし仮に2000年後くらいに他の書物や記録が消滅した状態で竹内文書だけが発見されれば、それが「正史」となるかもしれないと思うと、何が正当な歴史であるかなんて実はいい加減なものなのかもしませんね。

 

ミステリーツアー中の江面の行動と周りの人物たちの行動は、まるでアンジャッシュの”すれ違いコント”のようだったでしょう(笑)。

お互いが″コイツ・・なんか変だ!”と思いながらも進行していく様は、改めて読者の立場で見ると面白いですね。

 

しかしもし私が江面の立場でミステリーツアーだと判明した後は、もう恥ずかしくて死にたくなるくらいの一生のトラウマになるでしょう。

 

緒梶や周りもさっさと”これはお芝居だから!”と教えてやれよと思います。

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読み終わってWikipediaで調べたところ藤岡さんはバカミス作家と記載がありました。

そしていろいろあって、現在は作家活動は休止中なのでしょうか?

機会があれば別の作品を読んでみたいです。

 

(個人的評価)

面白さ  ☆☆

バカミス ☆

登場人物 ☆

読後感  ☆