石持浅海さんの作品は「月の扉」「心臓と左手 座間味くんの推理」の座間味くんシリーズのみだったので、石持さんの別な作品も読んでみたくなり、「扉は閉ざされたまま」を選びました。

 

読み終わってから知ったことですが、これは「碓氷優佳」シリーズなんですね。

この優佳については後で述べたいと思いますが・・読んでみてとても面白く読めました。

 

殺人事件での頭脳戦はとても読みごたえがあり、読んでいる最中もハラハラドキドキしていました。

なおこの頭脳戦を読んでいて、漠然と漫画「デスノート」の夜神月とLのやり取りを思い出しました。

そしてミステリー小説で犯人と探偵役の頭脳戦の物語は読んだ事がなかったなと思い至りました。

 

頭脳戦は倒叙ミステリーでないと成り立たないと思うので、私は今まで倒叙ミステリーをほとんど読んでいなかったということでしょう。

となるとミステリーにおいて倒叙ミステリーものは数としては少ないのかもしれませんね。

 

先ほど物語の頭脳戦がデスノートみたいと例えました。

いうなれば伏見は夜神月で優佳がLということになるんですが、この物語においては優佳が圧倒的に攻めていて、伏見は防戦一方であり、デスノートのような均衡は感じられませんでした。

 

そして残念なのは、物語からは優佳の魅力が伝わってこないことです。

最後に伏見に黙っていることを条件に関係を迫ったときでも、首を絞められたことも想定してナイフを隠し持っていましたし・・なんとなく可愛げがないというか、完全すぎて魅力が薄い気がします。

 

それでも物語としてはとても面白かったですし、展開としてもなぜ伏見は新山を殺したのか、なぜ伏見は新山を殺してからの時間を常に気にしていたのかが最後まで不明であったため、先の展開が気になっていて、ハラハラドキドキしながら読めました。

 

さてここからいつもどおり、私がちょっと気になったどうでもいい事を書き連ねていきます。

 

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伏見は人生を楽しんでいるのでしょうか。

伏見は頭脳が優秀でありながら、理性的でありすぎ、清廉でありすぎるようです。

 

清廉ですが独善的なので、自分の価値観で人を殺してしまうのは残念ですが、個人的には好きなキャラクターです。

 

作中では付き合えばやがては破局するとお互い分かっても優佳は伏見と恋愛をしようとしています。

伏見は大学生のころに優佳と付き合うことをせずに、今も避けていますがおそらくこの物語の後には付き合わざるを得ない状況でしょう。

 

そんな状況では伏見はもっと不幸になると思います。

 

次に優佳も同じく人生を楽しんでいるのか謎です。

優佳はあまりに聡明すぎます。

それゆえに人間関係は想像以上のストレスがたまりそうですね。

 

特に男性と付き合ったり結婚したら、優佳も相手に対して何か気が付いたり気になっても言うに言えない事も多いでしょうし、気になったことをすぐに口に出したら、相手が嫌がって長続きしないでしょう。

 

黙っていたら優佳の方がストレスがたまりそうですし・・優秀すぎるのも大変だと思います。

 

優佳はこれから伏見が苦しむことがわかっていても、付き合わざるを得ない状況を作り出したわけで・・優佳はなかなかの肉食なのか、伏見を支配下に置きたいドSなのでしょうか?

だとしたら優佳・・恐るべし(笑)。

 

みんなが同窓会で仲のいいメンバーと何年かぶりに楽しく酒を飲んでいる中で、優佳は新山の不在を怪しみ行動しています。

 

読者の立場では新山が殺されているのを知っているので、優佳が新山が来ないことを怪しむのは当然と思います。

ですが実際の同窓会の場面で楽しく飲んでいる中で調査することにこだわっていたら、いくらかわいくて聡明な女性であっても、参加者からは空気の読めないヤツとレッテルを貼られるでしょう(笑)。

 

臓器提供についてですが、殺人事件でなかったとしても警察で変死として処理された遺体からの臓器提供はできるのでしょうか。

伏見が気にしていたということは、きっとできるのでしょう。

調べればわかることでしょうが面倒なので調べていません(汗)。

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私としては座間味くんよりも優佳は探偵としては魅力に欠けますが「碓氷優佳シリーズ」では魅力的な探偵役になっているのか・・ということで他の優佳シリーズを読んでみたいです。

 

(個人的評価)

面白さ   ☆☆☆☆

ストーリー ☆☆☆☆

頭脳戦   ☆☆☆☆

登場人物  ☆