アガサ・クリスティの作品は「そして誰もいなくなった」に続き2作品目になります。

ミステリー小説として有名なので楽しみにしていました。

 

感想としては、ポアロは現代の名探偵よりはるかに分かりやすい名探偵ぶりで、ポアロの常に強気でかつ聡明であり、解決までブレないその姿勢は読んでいて安心感があります。

 

そしてワトソン役だと思っていたシェパード医師が犯人だとは・・ミステリー小説を読み始めて以来、久しぶりにちょっとショックな出来事でした。

 

まさか恐喝&殺人の犯人だったとは!

 

控えめでいい人で常識もあり、ポアロもことあるごとに「友よ」と言っていたので、このまま最後までホームズ&ワトソンの関係で行くのだと思ってました。

 

ところでこの作品自体がシェパード医師の手記という形で記されているということなので、文章の中ではシェパード医師の犯罪の行動が巧妙に隠ぺいされているということで、ある意味この作品も「叙述トリックもの」になるんでしょうね。

 

たしかミステリー小説のルールで、地の文で嘘を書いてはいけないというのがあったと思います。

それに対し「手記」という形なら書き手が都合のいいように書いたと言い訳ができますからね。

そしてシェパードの手記は嘘は書いていないようです・・ただちょっと自分に関する事実を控えめに書いただけ(笑)。

 

さて高名な”名探偵ポアロ”を初めて読んだわけですが、上述した現代の名探偵より分かりやすいキャラクターであったように思います。

ちょっとクセがありますが、それがポアロの味となり、なかなか面白いキャラクターで好感が持てます。

 

しかし最後にシェパード医師に自殺を教唆(強要?)するとは、現代においてはちょっと理解されないでしょう。

 

他の登場人物で印象に残るのは何といってもキャロラインでしょう。

正直、おしゃべり具合や野次馬根性が鬱陶しいと思えますが、憎めないのはなぜでしょうか(笑)。

 

キャロラインに限らず、この物語の女性はみんな変に言い訳がましいセリフを言うのは、アガサ・クリスティーの物語の特徴なのでしょうか。それとも当時のイギリスの女性の特徴(自己主張や自己肯定感が強いなど)なのでしょうか。

 

特にセシルはポアロから何か隠しているといわれた後の自己弁護と、フローラがお金を盗んでいないという弁解は、読んでいて「もう黙れ」と思ったくらい鬱陶しかったです。

 

最後に「そして誰もいなくなった」の感想でも書いていますが、海外小説の翻訳版は翻訳者のクセが出るのでしょう。

そしてこの作品を読んでいると、その時代のイギリスでの言い回しである「英語的表現」

を日本語に翻訳しているので、読んでいて違和感があると思えるのは仕方がないと思います。

 

そこでやっぱり原文を読むのが一番なのでしょうね・・英語がスラスラ理解できるなら(笑)。

 

(個人的評価)

面白さ  ☆☆☆

結論   ☆☆☆☆

トリック ☆☆

ポアロ  ☆☆☆☆