この本はいつも通りインターネットで面白そうなミステリー小説を検索していて、目についたので購入しました。
そしていつも通り調べた時の紹介文やあらすじは覚えていないし、敢えて表紙のあらすじも読まなかったので、まっさらの状態で読み始めました。
 
長沢樹さんの作品も初めてなので楽しみにしてました。
 
読み始めてしばらくは話の先の展開が全く読めなかったので、どうなっちゃうんだろうと思いながら読み進めました。
 
そして読み終わって、さわやかな青春小説プラスミステリー小説だったなと思いました。
正直消失トリックとしてはアッと驚くほどではないです。
そして・・この作品も映像化できない叙述トリックものだったんですね。
 
しかしこの物語はLGBTで苦しんでいる高校生の悩みや特異な体質ゆえの悩みがメインテーマです。
ただ読み始める前は全く想像もしていなかったので、とても驚きました。
 
普通(?)に生きてきた私には本当に理解することはできないかもしれませんが、生まれ持った性の違和感で悩むのはつらい事だと思います。
 
この物語の樋口のように性別を変えて生きる決意ができる高校生は多くはないでしょう。
また椎名のように同性しか好きになれない人も、まだまだ偏見の目で見られるので生きにくいんでしょうね。
 
これから社会がもっと成熟し、性についてカミングアウトしても受け入れられるようになれば、彼らももう少し生きやすくなるのでしょうか。
 
ただ網川の体質は周りがどうこうより、本人が受け入れるのに時間がかかるので、LGBTとは別問題ですよね。
 
さてここからどうでもいいツッコミをしていきます。
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椎名の性別は序盤から違和感ありありの表現で、体は男性で心は女性なのか?体は女性のレズビアンなのか?どっちだろうと思ってました。
 
ただ男性と誤認させるためなのか、名前が「康」でコウと読ませるのは、ちょっとやりすぎな気がしました。
おそらく椎名は今までの人生で何回も「やすし」と読まれてイヤな思いをしたことでしょう(笑)。
 
椎名の性別をどっちなのか分からなくして怪しい!と思わせていたのは、最後まで樋口の性別を女性と誤認させ続けるためのカムフラージュだったのかもと思いました。
 
現に私は樋口の性別を全く疑っていませんでしたから。
 
それにしても樋口は美少女だとごまかせる程の顔に生まれてよかった・・のかな?
もしかして女性と見紛うくらいキレイな顔に生まれたせいで、性に悩んでたのかもと思ったりもします。
 
しかし普通の男性が女性の格好をしたら、明らかに男性が女装していると分かるでしょうからね~・・そしたら美耶の信頼も得られなかったでしょう。
樋口が美少女に見えるほどのクオリティだからこそこの物語が成立してます(笑)。
 
ゲスな疑問ですが、椎名が伊達に乱暴したということですが、女性同士でどうやってやったのでしょうか。
殴るとかではなさそうなので性的暴行でしょうが・・
柴田は「裸にひん剝いた」と言っていましたが謎です。
 
ヒカルとジョージの存在が意味不明です。
彼らがいたから事件がややこしくなったんで、物語としては必要でしょうが・・
特にヒカルは拳銃も所持してるようなので完全な犯罪者。
 
この作品では正体が分からなかったヒカルは、後の“樋口真由消失シリーズ”に出てくるんでしょうね、きっと。
 
3階の校舎の屋上から落ちても、その後に歩けるものなのでしょうか。
もちろん当たり所が悪ければ死ぬでしょう。
 
網川は運良く死ななかったですが、落ちた後に痛みをこらえて歩くのは・・ちょっと考えられないですが、鍛えられた強靭な肉体と強運が重なれば可能なのかもしれませんね。
 
上述でドラマ化できないと書きましたが、椎名と網川が175センチあるとのことで、もし忠実に再現しようと思うともうそれだけでハードルが上がりますね。
 
背の高くきれいで演技ができるモデルさんや女優さんはいてもバスケが上手な人はそういませんからね。
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これが長沢さんのデビュー作なので、これ以降はもっと完成度が高い作品なのではと期待してしまいます。
楽しみです。
 
(個人的評価)
面白さ    ☆☆☆
驚き     ☆☆
百合度    ☆☆☆
バスケシーン ☆☆☆☆