綾辻行人さんの館シリーズを読むのはこれが2作品目になります。
綾辻さんの作品としては5作品目になります。

 

なぜ「十角館の殺人」の後、館シリーズの順番どおりに読むのではなく、この黒猫館を選んだのかはよく覚えていません。

 

 

読み始めから引き込まれ、最後まで楽しく読むことができました。

 

綾辻さんの既読の作品は何となくスロースタートのイメージがあるんですけどね(殺人鬼は除く(笑))。
全体に暗い雰囲気が最初から出て、いかにもすでに何か起こっていたような感じだったのがよかったのでしょうか。

 

それにしても天羽博士は、ルイス・キャロルと同じ性癖(ロリコン)で、ルイス・キャロルの書いた物語のように鏡あわせの体の持ち主(全内臓逆位症)、という属性が多過ぎですね。

 

 

そして物語の中でも語られてますが、鮎田が脳溢血で倒れ利き腕が不自由になり字が書けなくなり、電話をしようにも相手は耳が不自由だから直接会わなければならない。それで東京に出てきたらホテル火災に遭い記憶喪失になる、という偶然が積み重なって不幸になってます。

 

もっとも理沙子を殺しているので同情の余地はありませんけどね。

 

館も鏡あわせなら、阿寒湖を挟んで対称に黒猫館が建っていると予想したんですが・・赤道を挟んで対称とはスケールがでかい。

 

まさか黒猫館は南半球のタスマニアにあるとは設定がぶっ飛んでますね!

 

黒猫間が南半球にあることの描写であるのはネタバレされるとわかるんですが・・読んでる途中では全然気づくことができませんでした。

 

ただ警察に連絡するときに「0に指をかける」という記述と「頭の中で回転する、赤と青の透明な光」の記述はあれっ?と思いましたがそのままスルーでした。

 

疑問に思ったのは鮎田の手記の中で鮎田の左手で胸を押さえる描写を何度も手記に書いたり、体を左側を下にして横になるとか書くものなのかと。

 

普通は「胸を押さえた」の「体を横にして」とどっち手とかどの向きなんて抜きにして書くものなのでは・・と思いましたがそこは作者という名の神の為せる業なのでしょう。

 

それにしても中村青司・・なんて呪われた建築家なんでしょうか。

 

それとも中村青司が自分が設計した館に呪いをかけたんでしょうか。

 

なおこの作品も映像化が不可能・・というわけではないかと思います。

 

館の描写が叙述トリックになっていますが、最初の白兎館のところは何となくぼかしておいて、メインは手記の黒猫館ですし、いろいろな人の回想シーンで天羽博士の姿を最後まで出さなければ鮎田だとばれないし・・

 

しかし今のご時勢では、薬物を使用して乱交パーティーの描写は何かに取って代わることでしょう。

 

そして天羽博士のロリコン趣味も何かに変わっているでしょう(笑)

 

これを機に順番に他の館シリーズも読んでみたくなりました。

 

 

(個人的評価)

 

面白さ      ☆☆☆
トリック       ☆☆
雰囲気      ☆☆☆☆
偶然の重なり ☆☆☆☆☆