この本はインターネットで面白そうなミステリー小説を探していたときに、ミステリー+ホラーな感じ今まで読んだことがないジャンルだったので購入しました。
感想は、とても面白しろくてこれまた休憩なしで一気に読み切ってしまいました。
ホラー要素は最初と最後にあるくらいで、本格ミステリーでした。
1990年に発表された作品のため、少し時代が古いのを感じました。
今なら何度もかける仕事先には携帯電話でメモリ登録してある番号から電話をするので、物語のように喫茶店から公衆電話で電話をするようなかけ間違いはほぼないでしょう。
そしてマンションの入り口や店には防犯カメラが至る所にあるので、マンションの出入りした人が分かってしまうので、物語の謎もたちどころに分かってしまっていたかも知れません。
しかしそれではこの物語がすぐに解決して、成立しません。
そう思うと、昔の方がミステリー小説にはいい時代だったのでしょう。
Ⅷ章(残りはⅨ章とエピローグ)を読み終わって、“事件が解決した“ところまではミステリーというより、2時間のサスペンスドラマを見ている感じでした。
しかしⅨ章で事件の根幹を為すエピソードが追加されます。
これは後出しの情報と言えなくもないかなと思いますが、私は素直に驚きました。
よってⅧ章を読み終わったら2時間のサスペンスドラマ(火サスや土ワイ)、Ⅸ章を読み終わったらミステリー、エピローグを読み終わるとホラーという、印象がコロコロ変わる怒濤の展開でした。
主人公は貴島ですが、優しくかつ優秀そうではありますが、特に目立った能力はなく物語の中でも控えめです。
むしろ編集者の的場の方が一生懸命謎解きしてます。
私は貴島と的場が、昔のように楽しく話しができたらいいなと思っていましたが、、途中『そんな機会は二度と訪れてはこないことを。』の無常の記述で打ち砕かれ、後になって本当に的場が殺されてしまったときには悲しくなりました。
謎解きは私も一生懸命考えましたが、分かりませんでした。
犯人についてはアイ子が実は生きていたとか、アイ子には双子の姉妹がいたとか考えました。鏡に向かう足跡についてはサッパリ分かりませんでした。
まさかトリックのために昌宏の家具屋経営の設定が活きてくるとは・・だまされました。
ところでⅨ章で鈴子と充子が入れ替わっていた事が示唆されましたが、いかに双子のように似ていたとしても現実には不可能ですよね。
まあそこは小説かと思っています。
充子を殺して充子になりすました鈴子ですが、さらに悦子も的場も殺します。そんな女が二人を殺したことで自殺するのは腑に落ちないところですが、そこはエピローグで充子の怨念(?)が示唆されるので、自殺ではなく怨念に殺されたことになり何となく納得(??)します。
これで本格ミステリー+ホラーがこれで成り立ちました(笑)。
読んでいる時に、この物語は映像化される事も視野に入れて書かれた物なのと思い調べてみたら、作者の今邑彩さんの作品は結構映像化されており、貴島シリーズも映像化されていますが、この物語はされていないようです。
映像化されたら面白そうですけどね。
(個人的評価)
面白さ ☆☆☆
トリック ☆☆☆☆
人物描写 ☆☆☆
怖さ ☆