読書の先輩から借りた辻村深月の2冊目の本になります。
ネットの検索結果で評判がよさそうだったので借りて読んでみました

 

キレイにまとまった終わり方で、さわやかな読後感がありました。

 

 

しかし・・読み終わった後に、いつもどおりこの本を読んだ皆さんの感想を調べたところ、理帆子について私と同じような感想を持たれた方がたくさんいることに安心しました。

 

 

前半の読むのがちょっとつらかったです。

 

人を見下し、自分から壁を作っておきながら自分に居場所がない(少し・不在)などという理帆子を私は「面倒くさい女だな~」と思いました。架空の人物と分かっていながら、あまり気分のいいものではなかったです。
辻村さんの丁寧な心情描写が理帆子の印象をより悪くしています。

 

何はともあれ別所や郁也と出会って、最後にはすっかりいい子になってよかったと思います。

 

 

理帆子へのゲンナリさから途中読むペースが落ちた私を最後まで読ませた要因は、別所と理帆子の仲がどうなるかというのと、若尾の行く末を見たいがためでした。

 

 

若尾の身勝手さには理帆子とは比較にならないほどサイテーだと思っていました。(なお若尾のサイテー具合が際立つのも辻村さんの筆致のなせる業ですね。)

 

ファーストフードで髪の脱色は非常識極まりない奴ですがまだ笑えました。
しかしストーカーと言う言葉出てきたあたりから何となく危なくなってきたな~と思ったら後は犯罪者まっしぐら・・

 

私が思うに若尾は身勝手ですが、周りに迷惑をかけない笑えるダメ人間であって欲しかったです。こう思うあたりカワイソメダルの効果があったのは理帆子だけでなく、私にもあったようです。

 

 

それから別所(お父さん)は人間をよく知ってるというか知りすぎて達観しているように見えます。

 

私はお父さんの年齢を超えてしまいましたが、とてもじゃないですが人に対してあんなに穏やかでやさしく、そして郁也や理帆子に諭すような事はとても言えません。

 

終盤に別所あきらとお父さんの関係性を考えた時に、多恵さんの“あきらさんが住んでいた部屋”の話でA.Serizawaと出てきて、「お父さん=別所??まさかそんなわけないだろう??」と思っていたらそんな訳ありました(笑)。

 

 

別所は理帆子が生み出した幻ととらえるべきなのか、それとも死んだお父さんが幽霊として出てきたととらえるべきなのでしょうか。

 

私は読んだ直後は幽霊と思いました。しかしこのSF(少し・不思議)な物語においては、ずっと不思議なままなのでしょう。

 

さてここから内容と関係のないどうでもいいことです。

 

理帆子が人の個性を“SF“で表現していたのを見て「DAI語かっ!?」とツッコんでしまいました。
この物語が発表されたのは2005年とのことで、2005年当時はまだDAI語という呼び方は存在していなかったでしょう。
 
ちなみにこういうのはローマ字略語と言うことを知りました。


過去に流行った思いつくローマ字略語はKY(空気読めない)で、使われだしたのは2006年ごろだそうです。
その他、ギャル語でよく使われる印象がありますが、ギャル語は1990年代から使われだしたようです。

ローマ字略語がいつごろから使われだしたのか分かりませんが、結構歴史がありそうです

 

よって理帆子は、というよりSFを「すこし・不思議」と表現した藤子先生は時代を先取りしていたことになりますね。さすが20世紀にいながら22世紀を描いたお方です。

 

 

 

(個人的評価)

 

面白さ          ☆☆☆
感動           ☆☆☆
お母さんのポエム ☆☆
前半の読みにくさ ☆☆☆☆