私の読書熱が再燃して以降に読んだ本の中で1番印象に残っていて、個人的にお気に入りの本です。


本格的ミステリーだったりトリックがすごいと言うわけではありません。

では何が私にとって面白かったかと考えたとき、鈴木君と芳雄とのやりとり、小学生がメインの登場人物なのにどこか小学生らしさを感じない不思議な世界観、子供向けに書かれたそうですが、それにしてはブラックジョークが効きすぎたヒーロー(ヒーロー名やヒーローが飲酒轢き逃げ死亡事故)、そして天誅の衝撃などいろいろあります。

鈴木君がさらりと芳雄にとっての爆弾発言(神様にとっては周知の事実)をするのは面白いです。それにしても芳雄は本当の両親は別にいたり、早死にするなどかわいそうな運命のもとに生まれてます。

他の方の考察を拝見していると、鈴木君が本物の神様か否かで解釈が変わると言う意見がありました。

たしかに神様でなければミチルはともかくお母さんの天誅は間違いであった可能性も出てきます。それに芳雄が36歳で死ぬとか芳雄の両親のこととかも全部うそかもしれません。

しかし鈴木君の話が事実かどうかは物語の終わりでは確認のしようがありません。せいぜい近いところでは沢田先生の不倫が発覚すれば少しは鈴木君の信憑性がアップするかもしれません。それでなければ11年後にビックバンに矛盾するデータが出れば、ほぼ神様確定ではないでしょうか。

ちなみに私は鈴木君は本物の神様だという立場です。
あのタイミングで時計の針を落下させる天誅の下し方を偶然とは思えないのです。
(それにしてもミチルの天誅はアニメや実写で見たらそれはグロくて迫力がある場面になるでしょうね)

他の方の感想でもありましたが、この物語のポイントは神様は「嘘はつかないけど、本当のことを包み隠さず話すわけではない」ということです。

全てを話さないから、芳雄はいろいろ推理しますし、読者も結果に驚くわけですから、鈴木君が最初から事実を話してしまったらこの話はきっと面白くなくなるんでしょう。

どうでもいい疑問ですが、芳雄は26年後の7月22日に飛行機事故で死ぬのは変えられないと鈴木君は言われました。もし芳雄が天誅をお願いするのではなく、「僕を平均寿命くらいまで生きれるようにしてくれ」と言ったら鈴木君はどう言うのでしょうか?

鈴木君の話では、どうやら未来の事は確定しているようなので、神様でも変えられないというのか、それともお礼と言って運命を変えてくれるのか・・
もっとも芳雄は生きていてもいいことがないとあきらめているので、そんな事は言わないでしょうね。

(個人的評価)
神様の残酷度 ☆☆☆☆☆
ブラックさ  ☆☆☆☆☆
芳雄の悲劇  ☆☆☆☆☆

救いようのなさ☆☆☆☆☆☆☆
 
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