県内各地で遭難、3人死亡 白馬岳、さらに2人不明 04月29日(月)

 
 

 大型連休を迎えた県内で28日、登山者の山岳遭難が相次ぎ、死者3人、行方不明者2人に上った。北安曇郡白馬村の北アルプス白馬岳(2932メートル)白馬大雪渓で27日発生した雪崩遭難現場では28日午前9時すぎ、雪に埋まった状態の女性が見つかり、搬送先の大町市内の病院で死亡が確認された。大町署の調べで、行方不明になっていた岐阜市の病院職員山口典子さん(56)と確認された。さらに26日に白馬岳に入山した山口市の男性2人と連絡が取れないことが判明、大町署などは2人が雪崩に巻き込まれた可能性があるとみて29日も捜索を続ける。県内では他に北ア杓子(しゃくし)岳(2812メートル)で京都市の男性が滑落後に死亡、八ケ岳連峰の赤岳(2899メートル)でも東京の男性の遺体が見つかった。

 山口さんの発見現場は標高1750メートル付近で、死因は窒息死。その現場から400メートルほど下った場所でザックなどが見つかった。28日午前、山口市の男性2人が所属する宇部山岳会(山口県宇部市)から、白馬岳登山に向かった2人と連絡が取れないと大町署に相談があり、同署がザックなどの情報と合わせて2人の家族に連絡。山口市の50歳と32歳の男性2人が26日に白馬村猿倉から入山後、行方不明になっていると分かった。

 白馬大雪渓に近い北ア杓子岳でも、京都市の自営業塩山雅(ただし)さん(57)が下山中に滑落後、死亡した。八ケ岳連峰の赤岳直下の立場沢では、東京都国分寺市東恋ケ窪の会社員嶋田直樹さん(57)の遺体が見つかった。他にも中央アルプスや南アルプス、御岳山などでも遭難が相次ぎ、1人重体、3人が重軽傷を負った。

 大町署によると、塩山さんは4人パーティーで入山、同行者の通報を受けて県警ヘリが28日午後6時14分に救助し松本市内の病院に運んだが、死亡が確認された。死因は虚血性心疾患とみられる。

 嶋田さんは同日午後2時20分ごろ、捜索していた県警ヘリが発見した。茅野署によると死因は多発外傷で、登山道から約400メートル下に滑落したとみられる。嶋田さんは26日単独で八ケ岳に入り、赤岳近くの山小屋に宿泊。27日午前に出発した後、行方が分からなくなり、家族が28日未明に警視庁に届け出た。

 28日はこの他、中ア空木岳(2864メートル)で川崎市の大学生男性(22)が下山中に滑落。駒ケ根署によると、県警ヘリで病院に運ばれたが、頭など全身を打ち、重体とみられる。御岳山(3067メートル)では9合目付近を下山中、東京都八王子市の会社員高場常喜(たかばつねのぶ)さん(66)が転倒し、右太ももを骨折したとみられる。北ア鹿島槍ケ岳の天狗の鼻付近では神奈川県川崎市の女性(48)が滑落し、右足に軽いけが。南ア仙丈ケ岳(3033メートル)付近で兵庫県芦屋市の30代男性会社員が転倒、左足首を負傷したもようだ。