日本列島を襲う厳しい寒波の半数は、北欧の周辺海域で発生する高気圧に由来するのではないかとする研究結果を、海洋研究開発機構の研究チームがまとめ、日本気象学会の電子雑誌に10日付で発表した。
 高気圧の発生後、日本に寒波が到来するまでの期間は7~10日。海洋機構の堀正岳研究員は「天気予報に応用すれば、寒波到来に備える十分な時間が確保できるようになるかもしれない」と話している。
 堀研究員によると、日本から約7千キロ離れた北欧沖のバレンツ海付近に高気圧が発生すると、その東側に冷たい空気の流れができ、南東方面の西シベリア地域に寒気が蓄積する。これが西から東に吹くジェット気流に乗って日本方面に押し寄せるという。
 2009年から10年にかけての冬のシーズンで天気図を検証した結果、日本に到来した10の寒波のうち五つはこの現象と関連があった。今冬は分析中だが、1月末に福井県など日本海側を中心に大雪の被害をもたらした寒波をはじめ、多くに当てはまるという。
 ただ、この現象が長年続いてきたものかは不明。堀研究員は「さらに過去のデータを検証し、寒波のメカニズムを明らかにしていきたい」と話している。
(共同)