AIで仕事がなくなる。
この言葉を聞くたびに、
少しだけ違和感があるんですよね。
なくなる仕事は、あると思います。
でも同時に、増える仕事もある。
しかも、その増える仕事は、わりと泥くさい。
・顧客の会議に出る
・今の業務を聞く
・どこで時間が消えているのかを見る
AIを入れる。
うまく動かない。
また直す。
はい。
キラキラした「AI革命」の話しというより、
現場で靴を汚す話しです。
インド最大手のITサービス企業TCSは、
(Tata Consultancy Services)
顧客企業の現場に入り
AIの導入・調整・定着を支援する
Forward-Deployed Engineerを
最大8,900人規模まで増やす方針です。
外から採るだけではない。
今いる社員の再教育も考える。
この一文に、けっこう大きな変化が入っています。
多くの人はAI導入というと
「どのモデルが一番賢いのか」
「どのツールを契約するのか」に意識が向く。
もちろん大事。
でも、モデルが賢くなっただけでは、
会社の仕事は変わりません。
たとえば営業チームにAIを入れるとしても、
ただチャット画面を配るだけでは定着しない。
どの商談情報を入れるのか。
誰が下書きを確認するのか。
顧客に送ってはいけない情報は何か。
営業担当者の評価が、
AIを使うことで不利にならないか。
こういう細かい話しが、
最後に全部出てきます。
AI導入が止まる理由は、
AIが返事をしないからではありません。
今の仕事の流れと、
AIを使う流れがつながっていないから。
ここなんですよ。
Forward-Deployed Engineerを日本語にすると、
顧客常駐型(現場派遣型)エンジニア
「お客さんの現場まで行って、
一緒に使える状態にする人」です。
最新の調理器具を買ったのに、
箱から出していない。
ありますよね。
いや、僕だけかもしれませんが(笑)。
AIも同じです。
契約した。
研修を受けた。
社内にアカウントも配った。
でも、いつもの仕事に戻る。
この状態なら、導入は終わっていません。
むしろ始まってすらいない。
本当に必要なのは
「この仕事なら、今日からこの順番で使う」
まで落とし込むことです。
さらに、使った結果を見て、
プロセスを直し続けることです。
AIでまだ売上につながっていない人ほど、
考えてほしいことがあります。
AIで稼ぐ方法を探すと
「ツールを売る」
「プロンプトを売る」
「AIで制作する」に目が向きます。
それも悪くない。
ただ、競争が強くなりやすい。
なぜか?
ツールの機能は、
みんなが説明できるようになるからです。
一方で、
ある会社の受注から納品までの流れを理解し、
その会社が来週から使える仕組みにする。
これは簡単にコピーできません。
業務は会社ごとに違うからです。
担当者の不安も違う。
社内の承認ルートも違う。
データの置き場所も違う。
つまり、AIの価値は「一般論」から
「その会社だけの仕事の流れ」へ移っていく。
ここに小さな事業者にも入れる余地があります。
大企業向けに8,900人の体制をつくる話しは、
巨大な会社だけの話しではない。
むしろ逆です。
大手が大きな顧客の現場実装を取りに行くなら、
地域企業や中小企業、特定業種の細かな現場には
もっと深く理解してくれる人が必要になります。
AIを入れる前に、まず仕事を見ないといけない。
だからこそ、「AIに詳しい人」よりも、
「この業務の詰まりを一緒にほどける人」
が選ばれます。
AI導入支援とは、
魔法を見せることではありません。
現場の人が、「これなら明日も使える」
と思える形にすることです。
TCSの人員計画が示しているのは、
性能競争の次に実装競争が大きくなっている
という話し。
AIを売る人から、AIが働く仕事をつくる人へ。
この移動を早く理解した人ほど
派手ではないけれど
長く必要とされる仕事をつくれるはず。
ではでは
