満を持して決行することにした中国地方遠征。
その第一弾は島根県の三瓶山。
思えば遠くへ来たもんだってことで、張り切って行きましょう!



北の原登山口から入山。
広い駐車場があり、少し離れているがトイレもある。
使いやすい登山口だ。

 

登山道は非常によく整備されている。
途中で交差するコースが何本もあるが、道標が多いのであまり不安は感じない。

 

嬉しいことに入山してすぐにキビタキの歓迎を受けた。
キレイな鳥だよねぇ。
これはテンション上がるわ~。 



ぽちぽちと花も咲いている。
やはり東北より若干花が早い。 







途中いくつかの十字路がある。
山腹を巻く道や中国自然歩道などとの交差点だ。
登山道の十字路って実は意外に珍しいのではないだろうか?
三瓶山は色々なコースが縦横に走っているのであちこちに十字路がある。

 

昨日までは雨だったが今日は天気が良さそうだ。
木漏れ日が美しいなどと言って喜んでいたのだが…。 



山頂近くまで来たら濃いガスに包まれてしまった。
これは…。 



入山から1時間半ほどで男三瓶山の山頂に到着した。
っここは三瓶山最高峰なのだが、ご覧の通りあたり一面乳白色の闇に包まれていて何も見えない。

 

天気が良ければ山頂からは日本海などが望めたはず。
今、目の前に広がるのは一面の虚無だけだ。
えー、こんなはずでは…。 



地上はともかく山の上は天気の回復が遅れるということだろうか。
ガスだけじゃなくて風も強まってきた気がする。
萎えるんですけど…。 



テンションはダダ下がりだが予定通り子三瓶山へ向かう。
急な下り階段の先も何も見えない。
なんだか黄泉の国へでも通じているかのようだ。 



西の原へと下りていく道が右に分かれる。
視界が無いので道標と地図をよく確認しなければ。
変なところに下りてしまっては面倒だ。 

 

 



男三瓶山の南斜面は岩ガラの急斜面だ。
ここを300m弱ほど一気に下っていくのだが、全体的に湿っていて滑りやすく足元に気を使う。 



男三瓶山と子三瓶山の間の最低鞍部、扇沢分岐まで下ってきた。
久しぶりの急な下りだったので若干足がプルプルしている。
ううむ、こんなんで長い遠征期間を最後まで歩けるのだろうか。

 

扇沢分岐からすぐの赤雁山の直下でキレイな野鳥が現れた。
ソウシチョウという鳥で目にしたのは初めてだ。
生息域が関東以南のようだから東北では見られないわけだ。
初めて目にすることができて非常に嬉しい♪
…特定外来種だけどね。 



ソウシチョウの出現に気を良くしていると三瓶山も感化されたのか機嫌が良くなってきたようだ。
ガスが上がって周辺の景色が見え始めたのだ。 



目の前にはいつの間にやら子三瓶山の斜面が迫っていた。
さっきまで何も見えなかったので、山が唐突に目の前に現れたかのような気にさせられる。 



子三瓶山への登りは岩ガラではなく急な土斜面の道だ。
雨の後で地面が柔らかくなっていて三歩進んで一歩くらいずり下がる。
根気よく登っていくしか無い。 



山頂が近くなると再びガスの中に入ってしまった。
さっきよりは明るくなってきたが、やはり景色が見えるというには程遠い。 



三瓶一家巡り、2座目は子三瓶。
残念ながら、ここでも景色に関して言及することはできない。
虚しく登頂の証を撮影して足早に立ち去った。 



今度は孫三瓶に向かう。
ガスに包まれた笹原の道は幻想的だが方向感覚がおかしくなりそうだ。 



少し高度が下がると嘘のように視界が開けた。
いつの間にやら孫三瓶がすぐそこに迫っているではないか。 



眼下には絵に書いたような「十字路」が刻まれていた。
風越の分岐点だろう。
まずはあそこを目指して子三瓶山から下っていく。 



ぽこぽこと頭を出している三瓶一家は見た目は可愛らしいのだが登路は急でなかなか厳しい。
一つ峰を越す度に急坂を登ったり下ったり。
三瓶山の標高はそれほどでもないが、縦走路の累積標高差は積もり積もってそれなりになりそうだ。

 

風越の鞍部に到着。
さっき上から見た十字路だ。
風越というだけあっていつも風が強いのだろうか、標高のわりに背の高い木がほとんどない。
今日はそよ風程度の風しか吹いていないが。 



ふと振り返ると男三瓶山が遅まきながら顔を出そうとしていた。
出た、「下りたら晴れるの法則」だよ。

 

孫三瓶山でようやく山頂からの景色にありつくことができた。
今まで歩いてきた男三瓶、子三瓶をバックに記念写真を撮る。
もうちょっと早く晴れてくれればなぁ。 



孫三瓶山から先は、アップダウンが激しかったこれまでの道とは一変、稜線伝いの比較的平坦な道となる。
このあたりからすれ違う登山者の姿が多くなった。

 

奥の湯峠分岐とあるが奥の湯方面へ向かう道は笹薮に埋もれて見当たらない。
廃道になってしまったということか。
室内池方面へ下りる道は健在だ。



明るい林の中の道をゆるゆると登っていく。

 

やがて頭上が開けると、そこが太平山だ。
…おや、なんだか人が多いな…。
しかも軽装な人もチラホラ見かける。 



やたら立派な山頂標識の前で記念写真。
親・子・孫と三代連なる三瓶一族をバックに記念撮影だ。
晴れてるな。
これでちゃんと登った証になるね。 



展望台からは東の原と呼ばれる麓の草原地帯が見えた。
そしてそこから登ってくるリフトも。
そうか、リフトで気軽にここまで来れるのか。
どおりで人が多いわけだ。

 

賑わう太平山を後にして三瓶一家最後の女三瓶山に向かう。
右に行くとリフトの乗降場がある。
左手は展望台だ。 



十字路左側にある「室ノ内展望台」だ。
少々古びているがコンクリート造りガラス張りとなかなか気合が入っている。 



眺望はこんな感じ。
三瓶山のカルデラ室ノ内が一望できる…のだが、両脇から木々が枝を伸ばしてきており、それほど眺めが良いわけではない。
周知の事実なのか大勢登ってくるハイカー達もほとんどが展望台をスルーしていく。 



太平山のリフト分岐から先はこれまで以上に整備された道だ。
もはや登山道というより遊歩道だ。
リフトから女三瓶山を目指す観光客の便を図っているのだろう。 



10分ほど登ると周辺が開ける。
女三瓶山の山頂だ。
ここからは男三瓶山への縦走路が分岐している。 



分岐点近くに設けられた展望台からは今日歩いてきたコースをぐるっと見渡すことができる。
子も孫もすっかりガスが晴れ、その姿を見せてくれていた。 



男三瓶山もすっかり晴れていた。
うーむ…もうちょっと早く晴れてくれればなぁ。
早起きは三文の得…とは限らない。
今日はゆっくり出てきた人の勝ちだ。 



女三瓶山の山頂を踏んで三瓶一家ご訪問は終了だ。
なかなかに個性的で楽しいご一家だった。 



女三瓶山から北の原方面へ下り道は分かりづらい場所にある。
「トイレ→」と書かれた標識を横目にアンテナ施設の間を抜けていく。
本当にこっちでいいのか不安になるような道だ。 



新緑の中をゆるゆると下っていく。
特に見どころはないが極端に急な傾斜もなく歩きやすい。 



登山道は少しずつ道幅が広がり、車が入ってこれそうな道になった。
実際、過去には車両が入っていたような気配がある。
作業道か林道なのか。 



唐突にトイレがあった。
まさか山頂の標識で案内されていたのはこれか? 
山頂からここまで30分はかかっているのだが。
まるですぐそこにトイレが有るような標識はひどい(笑 



途中で中国自然歩道と交差する。
東北自然歩道・近畿自然歩道に続いて中国自然歩道にまで足跡を残してしまった…。
いつか歩く日が来る…だろうか。 



名号コース登山口に無事に下山した。
ここは青少年交流の家の最寄りの登山口だ。
北の原口までは少し遊歩道を歩く。 



名号登山口のすぐ近くには「梅雨左衛門」と名付けられた岩がある。
ジメジメした梅雨になぞらえたこの岩はシモの病気にご利益がある…らしい。
民間信仰の名残だとか。 



北の原口まで戻ってきた。
これで三瓶一家訪問、完了である。お疲れさまでした。

初めて足を踏み入れた中国地方。
その記念すべき第一座目に登った三瓶山。
天気予報は朝から晴天を告げており、実際美しい朝日も拝めた。
これは幸先が良いぞとウキウキしながら登山を開始したのだが、よりにもよって三瓶山にだけ前日の雨雲の名残がべっとり。
せっかく早起きしたのに、早朝はガスの中を歩くことになってしまった。

主峰の男三瓶山では視界ゼロ。
続く子三瓶山でも微妙な感じであった。
回る順番が逆だったら、もう少しゆっくりスタートしていたらと後悔するも後の祭り。

後半戦、女三瓶山あたりから全ての山々が見渡せるようになり一応「三瓶山に登ったぞ」という気分にさせてもらうことができた。
まぁ、こればっかりはね。
最後まで天気に裏切られなかったということで良しとしよう。

三瓶山周回コースはアップダウンが激しく、SNSなどでは「スパルタ一家だった」とか「ドS家族だ」とか書かれていたので少しビビっていた。
しかし実際歩いてみると、たしかに急な斜面も多いし大変なのだが変化に富んだ面白いコースだった。
遠征第一弾を飾るに相応しいコースだったと思う。
いきなりお初の野鳥に出会うこともできたし思い出深い登山となった。

おしまい