興味深い一説を見つけたので、共有します。
超一流の人間の共通点
私はさまざまな方とお会いしてお話をしますが、学者でも経営者でも
作家でも、どんなお仕事をされている方でも、超一流と言われる方たち
はみなさん謙虚でいらっしゃいます。
その道では大家
たいか
とか大御所と言われるような方たちが、自分の能力や
地位に驕
おご
ることなく、「私などは、まだまだ未熟です」とおっしゃるので
す。自分の才能や実績を誇示するようなことは、一切おっしゃいません。
その慎み深いものごしに接したときに、私は深く感銘を受けるととも
に、自分自身の小ささを自覚して、襟を正す思いになります。
『老子』の中に、「上善は水の如し」という有名な言葉があります。上善
とは、最上の生き方のことですが、それは水のようなものだというわけ
です。
私たち人間は、自分を上に見てもらいたいと焦ったり、人と接すると
きも、自分のほうを上の優位なポジションに持っていこうとすることが
あります。
一方、水は自ら低いところへと流れていくので、他と競争することが
ありません。自ら低いところへ身を置こうとするこの謙虚さと、どんな
形にも変化する柔軟さが水の特長であり、それこそが私たち人間にとっ
ても最上の生き方だと、老子は教えてくれるのです。
ふつう私たちは、何かで成功を収め、それなりの地位や実績を手に入
れると、「自分がすごいから成功したのだ」と驕ってしまいがちです。そ
して、才能や地位や実績を誇示したくなります。
しかし、このように謙虚さを失った状態では、自らの生き方を深く反
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省することがないので、人間として成長できません。
一方、超一流のレベルにまで到達する人は、謙虚さがあるからこそ、
常に自らを省みることができ、人間としてどこまでも深く大きく成長し
ていけるのです。
では、この謙虚さはどこから生じるのでしょうか? 私は、謙虚さの
源になるものは次の二つだと思っています。
一つは、“ おかげさまの精神” です。おかげさまの精神とは、「自分の
力で生きている」と考えるのではなくて、「自分は、水や空気や太陽のお
かげで、大自然のおかげで、ご縁あるたくさんの人々のおかげで生かさ
れている」と考えることから生じる、“ 慎みをともなう深い感謝” です。
これは、「何かいいことがあったから感謝する」という条件つきの感
謝ではなく、「今こうして生かされているだけでありがたい」という無条
件の、最上級の感謝です。
この精神を内に持つ人は、どんなに成功しても、それを自分の手柄
てがら
と
考えて自己満足するのではなく、それを自分の役割や使命と考えて感謝
します。「おかげさまで、ここまで来させていただいた。自分の役割があ
るというのは幸せなことだ。さらに自分の役割を全うして、世の中にも
っと恩返ししたい」という心境になるのです。
こうなると、競争相手を意識することもないし、仮にナンバーワンの
状態になったとしても、それに満足して止まってしまうことがありませ
ん。このような心境になった人が、どこまでも高みに上っていかれるの
は当然かもしれません。
謙虚さの源となる二つ目のものは、“ 本物の自信” です。
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私たちは、自分に自信をもてないときに、才能や地位や実績によって
自分を飾ろうとします。そのままの自分ではだめだと思うから、自分を
他人から認めてもらうための証拠を集めたくなるのです。
そしていつのまにか、その証拠( 才能や地位や実績) と自分を同一視
してしまいます。つまり、自分のアイデンティティ( 自分が自分である
証
あかし
) を、才能や地位や実績に置いてしまうのです。
だからこそ、自分の価値を証明するために才能や地位や実績を得るこ
とに必死になり、それらを手に入れた結果、「自分はすごい人間になった」
と錯覚するのです。この場合、「才能や地位や実績を手に入れたからこそ、
自分には価値がある」という考えになってしまうので、まだそういった
ものを手に入れていない人を見下げるようになり、謙虚とは程遠い、傲慢
ごうまん
な人間になってしまいます。
一方、本物の自信を持っている人は、「能力や地位や実績に頼らなく
ても、自分の存在はそのままで素晴らしい」と感じているので、自分を
能力や地位や実績と同一視することがありません。成功して能力や地位
や実績が手に入っても、「自分が偉くなった」と錯覚することはなく、む
しろ「たくさん与えられてありがたい」と感謝するようになるのです。
また、本物の自信があるからこそ、謙虚ではあっても決して卑屈には
ならず、つつましさの奥から輝きが感じられるような、そんな存在感を
周囲に放つのです。
ナイチンゲールが書簡の中で、「人間は賞賛を勝ち得ているときが、最
も危険なときである」と語っています。また、『菜根譚』にも、「順調に
いっている時ほど、慎みを忘れないようにしなければならない」という
意味の言葉が出てきます。
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私たちは、人生が順調なときで、まわりから高い評価を得ているとき
に、謙虚さを失ってしまいがちなのです。心しておきたいものですね。
一方、人生で大きな困難や逆境に直面したとき、私たちは謙虚になる
チャンスを与えられていると言えます。それは、順調にいっていたとき
のありがたさに感謝するチャンスであり、また、自らの生き方を深く反
省して、人間として大きく成長するチャンスなのです。
順調なときこそ謙虚になり、また、逆境に出合っても謙虚になる。そ
んな生き方を実践していった先に、私たちは超一流と言われる人間にな
るようです。
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※ この文書は、拙著 『心眼力 ~ 柔らかく燃えて生きる3 0 の智恵~( C D 付)』
( 野口嘉則 著、サンマーク出版)の中から、その一節を抜粋したもので
す。この内容を誰かに教えてあげたいと思われたら、このファイルをメ
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いただいてO K です。 野口嘉則