コントラバス4重奏の為に編曲した「Summersong」は、スウェーデン民謡でPeterson-bergerのピアノ曲集の中に原曲が収まっている。

 

2017年7月27日に柏アミュゼにて挙行され、私も参加した演奏会「大地の響宴」において、世界の音楽を巡る中で、古徳景子さんのマリンバ独奏で演奏されたこの曲が、コントラバスアンサンブルで演奏できればと思い、古徳さんから情報を提供いただき、編曲した。

 

編曲にあたっては、旋律とバス進行にはあまり手を触れなかったが、内声に大きく変化を付けて、付加音の多い和声を用いてみた、北欧的な茫洋とした情景を連想できればと思う。原曲からかなり外れた響きになった部分もあるが、原曲のピアノ曲の序文には、スウェーデン民謡の普及の為に著作権を放棄する由の文がある。古徳さんによると、子守歌として歌うこともあるそうで、物語を語るかのような旋律が豊かな響きに包まれるように作ったつもりである。

 

コントラバスの音域を考慮して作ったが、チェロ4重奏でも充分演奏が可能である。

 

 

この編曲を終えた頃、私がトレーナーを務めている筑波大学オーケストラのコントラバスパートOBである中村利昭君が自転車による事故で亡くなってしまった。卒業後も筑波の文化財団で働き、後輩の面倒もよくみてくれていた。彼が楽器を購入するときも相談に乗ったりした。

前述の演奏会にも足を運んでくれて、終演後に話したのが最後になってしまったわけだが、彼も感銘をもって聴いたであろうこの曲のコントラバス編曲を彼の魂に捧げようと思う。