ロ短調はオーケストラ曲としての使用頻度が高い調だろう。

ニ長調とロ長調というかなり時限の違う調が近親調であるのも面白い。


楽曲としては

未完成交響曲

悲愴交響曲

白鳥の湖

ロミオとジュリエット(チャイコーフスキー)

が代表的だ、チャイコフスキーが多い。


ロ短調はDを基準に純正を考えると、Fisを低くとることになる。Hもこれに準じて低めとなり、暗い響きとなる。


「死」というテーマがロ短調には合っている。

近親調のロ長調は「魂の救済」の調として使われている。上記各曲で確認されたい。

もうひとつの近親調、平行調のニ長調は天国のような明るい響きであり、Fisを純正にとれば、既にDとAは調弦されており、完全な調和を得られる。

もっとも、調性格論において「天国的世界」はホ長調が適しているとされている。

メサイア第3部始まり

マーラー交響曲第4番終結部

などはそれを意図してホ長調としているようだ。

ニ長調はホ長調ほど「浮世離れ」していない感がある。しかしその落ち着いた明るさは、幾分世俗を離れる感じではある。

「オベロン」序曲では、ニ長調が妖精の国の雰囲気を出している。

ブラームス交響曲2番では、ペルチャッハの自然に抱かれて、俗世を離れた精神状態がニ長調に表れている。


モーツァルトはニ長調をかなり愛用している。楽天的な音楽にはもってこいの調だろう。そのぶん転調したときの色彩の変化が、深い精神世界に聴き手を引き込むことにもなるだろう。

DとAは全ての弦楽器で気持ちよく明るく響く解放弦を持つ。これが演奏上も気持ち良く、精神的に解放された音楽を生み出す素地となっている。