最近演奏したなかで、最低弦をBとしたときに、使うと効果のある場面がある楽曲を紹介しよう。


♪ワーグナー 「トリスタンとイゾルデ」前奏曲と愛の死♪

81・82小節にFとBが現れる。82小節のほうをオクターヴ下げて響きを広げ、次の小節のFを最初はオクターヴ下でしばらくしたら元の高さに戻す。

愛の死に入って2小節目Bがdiv.ではなく記されているが、オクターヴ下のBを加えると音楽の深さが際立つ。2小節後のDesも同様に。


♪ベートーヴェン 交響曲 第4番♪

何もしなくても変ロ長調では最低弦Bは共鳴弦として、主音と属音を豊かにする。

第4楽章の2分音符スフォルツァート4連打はオクターヴ下げると音圧が変わって、全曲の中の最大のクライマックスを演出出来るだろう。


※5弦コントラバス最低弦の効果は、その音だけでは音色も暗くなり響きもあまり良くないと感じる。オクターヴ上の音とのバランスが肝要であろう。コントラバスパートとしては、むしろ記譜された音が深く聴こえる状態を目指したい。そういう意味では弱奏の場面でも効果がある場合が多いだろう。