弟のカボが小学校に入学した年のある日のこと。

学校から帰ってみると、

弟が、部屋の隅で毛布にくるまっていました。






「カボちゃんどうしたの?」

と聞いても返事がない。

暫く放っておいたが、やはり気になり、






「どうしたの?」


もう一度聞いたみたが、

やはり返事はない。






何かおかしいと感じて、毛布を引っぺがす!!

膝が大きく擦り剥けていた。






もう一度、

「どうしたの、カボ」

と問いただすと、

「転んだ」


素っ気ない返事。






膝を消毒してやり、ガーゼを当てテープで止めてやった。






その時、

玄関のチャイムが乱暴に鳴り。

ドンドン、とドアを叩く音がした・・・・・




















玄関の戸を開けてみると、

近所のカボの同級生と、そのお母さんが立っていた。





挨拶をする間もなく、





「この子の肘の傷を見て下さい

 お宅の子に乱暴されたんです

 いったいどうしてくれるんです」






一気に捲し立てられた私は、

カボに何も確かめることもせず、只条件反射のように、





「どうもすみませんでした」


平に頭を下げ、

「ごめんなさい、どうか許して下さい」

気がつくとそうしていた。





しばらくして、我に帰ってみると、

相手の姿はどこにもなく、

カボの様子を伺うと、

また部屋の隅で、毛布にくるまっていた。





父が帰って来て、事情を話すと、

鞄をおろすことも忘れたように、カボのところへ行き、

毛布を引きはがし、

「何があった」

「ちゃんと、父ちゃんに話せ」


とカボに迫った。





暫くだんまりを決め込んでいたカボだったが、

何度目かの父の問いかけに、





「おまえんちは母ちゃんもいないし貧乏なんだろ

 おまえも姉ちゃんも、いつも同じ服着てるじゃん」






聞き終わらないうちに、サンダルを引っかけて、父が駈け出した。

後を追う・・・・・弟と私。





その家に私たちが着くと、玄関先で父の声がした。






「確かにうちは母親がいない

 父親の私では至らないことが多いと思う

 ですが、理由もなしに暴力を振るうことなど決してない

 どうかお宅の息子さんに確かめて頂きたい」







こんなに怒ってるような真剣な父を見たのは、この時が初めてだった。






奥の方で、様子を窺っていたその子が、

両親に呼ばれて・・・・・






自分がしたことをすべて認めた。






帰りの道すがら・・・・・






「三人でラーメンでも食べて帰ろうか」






父が言った。






私は、涙の味がするラーメンを啜りながら・・・・・






「カボちゃん、ごめんね・・・・・姉ちゃんは・・・・・」






カボは一言こう言った。




















「ねえちゃん、ラーメンうまいね」



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