step
1
剥がれ具合、劣化具合の確認

劣化が酷い場合はただ接着をしてもすぐ剥がれてしまいます。粉状になっていてポロポロしていたり、ぐずれ落ちていっていないかどうかを確認してください。靴を曲げたときにソールが割れてしまうような状態も劣化が激しい証拠です。その場合は接着では修理できないので、残念ながら修理屋さんに持っていくしかありません。

下の画像のミッドソールは崩壊しています。

ソール崩壊例

劣化が大丈夫そうなら次に進みましょう!

つま先の部分やカカトの部分だけなど部分的に剥がれていると思われても少し力を入れるとどんどん剥がれていくケースが多いです

これは1度全部を剥がすしかありません。

部分的に接着したところで別の部分が剥がれてくるので意味がありません。

全部剥がしたほうが作業も楽です。→貼り戻すとき、位置の調整は難しい。

力を入れて剥がそうとしても剥がれなければ部分的な接着でも大丈夫です

古いスニーカーだったら接着力は低下しています。

熱いお湯(沸騰する温度だから100℃、ポコポコ沸いている状態)にソールを浸けます。

5分くらいかな。

火傷しないよう注意して触ってみるとポロっと取れます。

温めることで古いグルーを剥がせます。→熱湯湯煎は、接着に失敗し剝がしたいときも有効です。熱湯湯煎し、ウエス等でこすると接着剤がぐるぐる剝がせます。アセトンでは剝がせません。

カップソールの写真

上の画像のようにソールがアッパーに覆いかぶさるようなお椀型ソールをカップソールと呼びます。その場合、覆いかぶさる部分のアッパーの表面がポロポロ取れる場合残念ながら付きません。紙やすりで表面を取り切ってもうポロポロしてこないのでしたら接着は可能です。ただし見栄えは悪くなるかもしれません。

step
2
元の接着剤等汚れを落とし乾燥させる

接着する両面に付着している接着剤やゴミ・サビ・油などの汚れをサンドペーパーやアルコールなどで完全に落としてよく乾燥させます。

ゴムや皮革は必ずサンドペーパーをよくかけてください。

この写真で気になるのは白い接着剤の跡かスポンジかの汚れと、ソールのナイキロゴ周りがつるつるしています。

紙やすりは市販の紙やすりで大丈夫です。→細目#400では落とせません。これより荒い番手を使います。

この工程は色々な処理の仕方があります。

接着面にティッシュを敷いてシンナーを染み込ませて少しの間置いておき、完全に乾かないうちにヘラでそぎ落としたりも有効な手段です。

ホームセンターなどで販売されている彫刻用の電動ミニルーターや、電動ドリルに取り付けられるやすりなどでそぎ落としていくのも、有効かもしれません。

step
3
プライマーでの下塗り、そして乾燥

プライマーを塗っていきます。薄い膜を作るように接着面全体に塗ってください

※プライマーと接着剤使用の際は窓を開けて換気しながら作業してください。

アッパーは剥がれた跡があるので、それを1ミリ以内にはみ出す程度で塗っていきましょう。完璧が良いという方は丁度のところまでで塗ってもいいですが、⑤の接着で境界線付近がちゃんと付くかの難易度はかなり高くなります。

プライマーと接着剤の塗布で難しいところは接着面との境界線の部分です。プライマーが塗ってなければ付きにくく、接着剤が塗れてなければくっつきません。

それと、接着修理はソールとアッパーの境界線の部分は少し接着の跡が残ってしまいます。最近は減っていると思いますが、新品の既製品のスニーカーでさえよく見ると接着剤の跡が見えたりもしますので、それが修理となればどうしても跡がでてしまいます。

塗り終わったら、30分~1時間ほど乾かします。環境によって時間は変わってきます。

部分的に接着をする場合、プライマーを塗った後、接着剤を塗った後共に、塗ったアッパーとソールが乾くまでくっつかないように、間に爪楊枝や割りばしのようなものを挟ませてください。

step
4
接着剤(のり・グルー)での上塗り、そして乾燥

プライマーを乾かしたら、ソールとアッパーの接着面全体にプライマー同様薄い膜を作るように接着剤を塗ってください

塗り切れてないところを塗るために、30分程度乾かしたら2回目のグルーを1回目同様に塗ります

お分かりになられたと思いますが、接着と聞くと文房具ののりやボンド、瞬間接着剤等の塗り方を想像して、塗ったあとにすぐくっつけると思うはずです。

靴の接着は接着部分にのりをより強くくっつけるために乾かしてのり同士を最後にくっつける形です。靴は毎日かなりの負荷がかかって労働させられているのでちょっとした接着ではすぐ取れてしまいます。革靴よりもスニーカーは圧倒的にくっつきません。ですので接着修理はすぐにはできないのです。

「アッパー」↔「のり」 と

「のり」↔「ソール」 を付けてから

「アッパーのり」↔「のりソール」 を付けます。

当たり前と思うかもしれませんが、アッパーとソールが直接付いているわけではなく、間ののり同士がくっついています。

step
5
いよいよ接着!

2度塗りから20分〜30分程度乾かし、塗布した面に粘着テープのような粘着性がでてきたらすぐに貼り合わせ、強く押さえ圧着させます。

必要に応じて粘着テープやヒモなどで固定します。アッパーの特に合皮が劣化している場合テープで剥がれてしまう可能性がありますので注意してください。

張り合わせまでの時間を置きすぎて塗布面の粘着性が低下してしまったり、圧着が足りないとうまく接着できません。意外と難しい作業になります。ちょっとの失敗は仕方ないぐらいに思わないと、やり直した場合もっと汚くなる可能性があります。

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まずはソールとアッパーのカカトかつま先どちらかを合わせてください。まだ合わせる場所を探っている状態ですので、ずれた場合やり直せる程度に軽く付けます。カカトを先にやった場合は次に反対側のつま先を合わせてください。つま先にだけ覆いかぶさる部分があるならつま先から先のほうがいいです。

カカトとつま先が固定されたら、中間部分もゆっくりと元々の位置に合わせて軽く付けてください。

ソールの素材によっては使用や保管の状況によってソールが縮んだり伸びたりしています。縮んだ場合はカカトを合わせたらつま先のほうに力を入れて伸ばして、伸びた場合はカカトとつま先を合わせたら中間で辻褄を合わせる感じになります。

難しいのは。カップソールです。

アッパーを包み込むようにグイッと力をかけて入れていかないといけません。うまくいかないとアッパーに入れようとした中途半端なところでくっついてしまいます。これは修理屋さんでも難しい作業になります。この写真だとまずカカトから合わせてつま先のほうはグイッとサイドもグイッと力を入れて包み込んで、上手く入ったら包み込んでる部分を力を入れてちゃんとくっつけます。上に書いたようにソールが縮んだり伸びたりした場合はもっと難しいです。

①で説明した通りカップソールの場合、覆いかぶさる部分のアッパーの表面がポロポロ取れる場合残念ながら付きません。

上記が仮止めとすると最後にできるかぎりの力を入れて圧着します

圧着

多くの方は、境界線部分に隙間ができたり、すぐ剥がれそうだったりしているかもしれません。

のり同士が付いていないのならそこをドライヤーで少し温めて再度壁に押し当てたりして付けましょう。それでも付かない場合はのりが塗れてないのかもしれません。爪楊枝などでのりを隙間から塗ってまた乾かしてから付けてみてください。

それでも付かない場合もあります。プライマーやグルーを塗布してから放置時間を取りすぎて接着できなくなった場合は、再度グルーを両面に均一に塗布してからの工程を行います。

約24時間(23℃湿度50%)で実用強度に達します。

※接着できないもの

  • ポリプロピレン
  • ポリエチレン
  • シリコンゴム
  • フッ素樹脂
  • ナイロン etc.

テクニック

  • マスキングは、ぎりぎりまで綺麗に丹念に手を抜かずに行うべし
  • 接着後は、グルーが完全に乾ききる前にはがすべし
  • 塗装用マスキングテープを使うべし ※装飾用はだめ
  • マスキングは、接着作業の直前に行うべし ※長時間放置すると癒着し剥がれにくくなってしまう