新聞・テレビが「民主主義の根幹」であったのも今は昔。情報源として各紙・各局、記者・編集者を個別に見れば、もはや（彼らが批判してやまない）ネット社会に生息する有象無象と変わるところがないような・・・

巷間言われているとおり、ネットに溢れる情報は玉石混交。

しかしながら、だからこそ、総体としては、それなりに健全だとも言えます。

なぜなら、どのような発信についても、受け手としてその気になりさえすれば、必ず異論・反論が見つかり、それらを勘案して自分で考えることができるから。

翻って、新聞・テレビはどうかと問えば・・・

●新聞大会決議

唐突ながら、10月15日から21日まで（人知れず）新聞週間でした。

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今年度（第78回）は、こんな「新聞大会決議」を採択しております。

　世界各地で進む社会の分断により既存秩序が揺らぎ、繁栄や安全を自国第一主義に求める動きが拡大している。ウクライナや中東では戦禍が続く。日本でも参院選で各党の勢力図が大きく変わり、政治状況や社会の価値観が変化しつつある。

　SNSに広がる偽情報や誹謗(ひぼう)中傷は、民主主義の基盤である選挙にも大きな影響を及ぼしている。新聞協会に加盟する各社は有権者の確かな選択に資するため、情報の空白を作らず、真偽検証を含め選挙報道の進化に取り組む。

　生成AIの普及と技術進化は社会に変革をもたらしつつある。ただ、ニュースコンテンツの無断利用が続けば報道機関の機能が損なわれかねない。国民の知る権利にもかかわる重要な問題として対処する必要がある。

　戦後80年を経てメディア環境が激変し、複雑化する現代社会においても、私たちは民主主義の発展を担い続けたい。事実に立脚した正確な報道と公正な論評を届け、社会と向き合いながらジャーナリズムの責務を果たすことを改めて誓う。

「事実に立脚した正確な報道と公正な論評」・・・

うん、まあ、「表現・言論の自由」は保証されてますからね。

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●新聞週間標語

そして、「新聞週間標語」入選作、「代表標語 1編」がこちら。

ネット社会　それでも頼る　この一面

何であれ、特定のモノに頼ったらダメですよ、と思わないでもない。

「佳作 10編」の中にはこんなのもありました。

情報の　確度で示す　存在感

いやいや・・・

かすかな声を、確かな言葉に。

その「声」は、記者・編集者が（恣意的に）選んだ「声」ですよね？　と。

ま、標語ですから、目くじら立てるほどのことはないのですが。

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●朝日新聞の、その日の一面

せっかくなんで、ここで具体的に「（それでも頼れと言いたいらしい）この一面」を見ておきましょう。

（朝日新聞10/22-1面）

高市政権発足の翌日、“怖いもの見たさ”に抗えずコンビニで購入しました。

知る人ぞ知る“高市嫌い”の朝日新聞ですが、パッと見は思ったより控えめ。

ただ「自維連立強い保守色」辺りには、やはり滲み出るものがあります。

曖昧模糊とした「保守色」という言葉を使っている時点で「事実に立脚した正確な報道」とは距離がありますよね、という感ありです。

●解説記事は？

本文を読み出すと、いよいよその距離は大きくなっていくのでありまして。

殊に、解説記事・コラムの類は遠慮がありません。

（同上）

「再編含み歴史的な分岐点」というタイトル自体は、まあ良いとして。

　靖国神社参拝を見送ったのは適切だった。日本はサンフランシスコ講和条約第11条で東京裁判を受け入れ、独立を回復し、国際社会に復帰した。A級戦犯を合祀した神社への首相参拝は、先の大戦に対する反省の上に立つ戦後80年の歩みを否定する試みだ。今秋のみならず、首相在任中の参拝は控えるべきだ。

これって「公正な論評」ですか？

いわゆる「べき論」であり、「個人の感想」「お気持ち」に近いのではないですか？

　政治の役割は、分断や対立をあおらず、異なる意見を包摂することにある。ネットでは高市氏を支持する人と批判する人の応酬が続く。支持者向けではなく、国民全体の代表として冷静な判断が高市氏に求められている。

まさに「おまいう」です。

今や新聞こそが、分断や対立をあおり、異なる意見を封殺し、自らのコアな購読者にのみウケるような論評を繰り返しているではないですか、と言わずにいられません。

●コラムは？

そして、“試験に出る”「天声人語」様です。

（同上）

　公明という重しが外れ、政権のバランスが一気に右へ傾いたということなのだろう。日本の政治を「前へ進める」と維新は強調したが、むしろ感じるのは、どこへ転がっていくのか分からないという不安だ

ぶっちゃけ、左から見れば全てが右ですし。

で、論理的にモノを言えなくなると「不安」を持ち出すという。

　霧や吹雪で先が見えない時、本人は正しく進んでいるつもりでも、方向感覚を失って、思わぬところに行き着いてしまうことがある。右へ右へとたどった末にぐるりと戻り、どこか見覚えのある地点まで国民を引っ張ってしまわないか。杞憂に終わればいいのだが。

これまた「おまいう」ですな。

「どこか見覚えのある地点まで」ぐるりと戻るのは、左へ左へとたどったとしても同じことですし。

何より、かつて国民を引っ張ったのは（その一翼を担ったのは）、間違いなく新聞でありましたし。

●断末魔の様相？

いずれにせよ、新聞・テレビが「黄金の日々」を取り戻すことはないでしょう。

此度の、自民党総裁選挙から国会首班指名選挙、自民・維新連立から高市政権発足に至る流れの中で、いよいよ鮮明になったこと・・・

それは、自らについて「民主主義の基盤」なんだと、「情報の空白を作らず、真偽検証を含め選挙報道の進化に取り組む」と、どれほど力説しようとも実態がともなっていないこと。

（新聞・テレビ以外発の情報に接する人にとっては）もう、どうしようもないほど明らかです。

　自民党本部で高市早苗総裁の取材待機中、報道陣の一部が「支持率下げてやる」などと発言した音声が収録され、インターネット上で拡散されたことについて、時事通信社は９日、映像センター写真部所属の男性カメラマンの発言であることを確認し、本人を厳重注意したことを発表した。

本社カメラマンを厳重注意　「支持率下げてやる」発言―時事通信社：時事ドットコム自民党本部で高市早苗総裁の取材待機中、報道陣の一部が「支持率下げてやる」などと発言した音声が収録され、インターネット上で拡散されたことについて、時事通信社は９日、映像センター写真部所属の男性カメラマンの発言であることを確認し、本人を厳重注意したことを発表した。

www.jiji.com

　ＢＳ朝日は２４日、同局の討論番組「激論！クロスファイア」を終了すると発表した。司会の田原総一朗さん（９１）が１９日放送の番組内で不適切な発言を行ったことが理由。同局は放送後、田原さんを厳重注意していた。

「激論！クロスファイア」終了　田原総一朗さんの不適切発言で―ＢＳ朝日：時事ドットコムＢＳ朝日は２４日、同局の討論番組「激論！クロスファイア」を終了すると発表した。司会の田原総一朗さん（９１）が１９日放送の番組内で不適切な発言を行ったことが理由。同局は放送後、田原さんを厳重注意していた。

www.jiji.com

事ここに至っては、新聞・テレビ業界として、良くて先細り、悪ければ絶滅、以外の未来はないように思います。

主たる購読者層・視聴者層が老い先短いのもまた、厳然たる事実ですし。

時の流れ、時代の変遷、と言ってしまえばそれまでですが、得るものがあれば失うものもあるのが世の常。

ちょっと素敵で、ちょっとセツナイ。

そんなことを思う、季節の変わり目でございます。

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“怖いもの見たさ”という気分を共有できる方は、こちらも読んでみましょう。

色々困ってしまいますし、正直、参っちゃいます。

（社説）高市内閣発足　急進的な「改革」姿勢への危惧：朝日新聞　自民党の参院選大敗から３カ月。長い政治空白の末、曲折を経て高市早苗内閣が発足した。首相指名選挙では、閣外協力の形で連立政権入りした日本維新の会の所属議員らが高市氏に票を投じ、衆院では１回目の投票で、…

www.asahi.com

こちらは備忘録。

「日本の底力」を信じ、全面的に協力し合う　自民・維新による連立政権樹立合意書【全文】自民党の高市早苗総裁と日本維新の会の吉村洋文代表が20日の党首会談で署名し、連立政権の樹立で合意した文書の全容は次のとおり。

www.sankei.com

令和7年10月24日第２１９回国会における高市内閣総理大臣所信表明演説 | 総理の演説・記者会見など | 首相官邸ホームページ総理の演説や記者会見などを、ノーカットの動画やテキストでご覧になれます。

www.kantei.go.jp

参考までに、地元ローカル紙の、その日の一面。

（東愛知新聞10/22-1面）

地域内、新城の市長選挙が公示されたので、そちらがトップ。

下段に、

第104代総理大臣に高市氏

憲政史上初の女性首相誕生　自民・維新の連立政権発足

とあります。

地方新聞として「全国ニュース」を扱うこと自体が珍しいわけで、それに値する「事件」だと判断したのでしょう。

見出しともども、穏当だと思います。

“ネット時代 それでも頼るの？ その一面”

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